答えは「付焼刃だから」ですけども(「付け焼き刃」とも書きますが)。
2023/1/23に岸田文雄首相は施政方針演説で「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と語りました。
これについては既に批判的な意見が散見されます。
例としては以下。
独身研究家の荒川和久氏が「子育て支援は効果がない」と主張されており、その理由は「子育て支援にはなるが、少子化の対策にはなっていない」というものです。
荒川氏はさらに「子どもを産むお母さんが減っており、それを食い止めるためには不本意未婚を減らさなければならない」とも。
で、この不本意未婚とは「結婚したいのにできない」という状態のことであり、その大きな理由に「経済的余裕がないこと」が挙げられるとも、仰っています。
ここまでは、仰る通りとしか言いようがありません。
ただし荒川氏の最終的な結論「少子化対策には若者に目を向けるべき」とは、微妙に異なるわけですけれども。
それはさておき、上記の「経済的余裕がないこと」については全面的に同意致しておりますので、そのことを以下のような図で表してみました。
以前別のところで描いていた図に加筆したものです。
(元の図は以下の記事に貼っていたものですけれども。
さらに元々の図は静岡産業大学学術機関リポジトリの岩本勇先生の論文「チャネル・リーダー移動と社会環境要因の関係に関する研究 ― 業界別PB比率とハーフィンダール指数 ―」を元にして描いたものでした。
ご興味ある方は、こちらの記事もよろしくお願い致します)
ただしこのようなことが起こっているのは、日本だけの話ではありません。
にもかかわらず日本の凋落が著しいのは、我々の持つ国民性に起因します。
上記のような理由で各企業が人員削減をしなければならないという場合、例えばアメリカだったらどのようにするでしょうか?
真っ先に、高い給料でかつ能力の低い者からクビにしていくでしょうね。
ところが日本ではそれをしない、何故ならば「揉めたくない」からです。
「揉めたくない」ならどうするのかと言いますと、新規採用を控えて非正規で人員を補充する、ということをやるわけですよ。
つまり既存の社員はできるだけクビにしないでそのままにして、新たに増える人員の方の待遇をどんどん悪化させていくわけですけれども、この影響をもろに受けるのが若い世代の人です。
そこで荒川氏の結論「少子化対策には若者に目を向けるべき」と、ここでは一致するわけですけれども。
私は「この件に限らず日本人の国民性、そこから来る価値観や教育などの大半が、今これからの時代に合っていないことを自覚し、その対策をするべき」だと考えているので、微妙に異なる意見であるということになります。
というわけで、まとめるとですね。
ここで指摘したところを解決しない付け焼刃的な政策に対しては、批判的な意見が出てくるのは当たり前ではないのかと。
今回の記事では、そのようなツッコミを致したかったのでした。
(なら、どうすれば良いのかについては、まずは「国民の客側の能力を育成する」こと、そのためには「ベーシックインカムなどの思い切った政策を導入する」こと、これらが私の個人的な意見です。
とはいえ、日本は保守的な人が多く、ベーシックインカム導入もまだ早いという人が多いんですよね。
多数決だからそこは仕方がないので、今の時点では各自できることをがんばるしかないわけですけれども……そうなったら、自衛のために結婚しないという人がたくさんいるのも当たり前やんていう話になって……堂々巡りとなりました。
めでたしめでたし……いや、めでたくないし)