えーと、前回から本日までに以下の記事を拝読しコメントしましたら、丁寧なご返信を頂きました。ありがとうございました。
『“落ち込む”行為は『傲慢』だからか!?』(ふちゃんぷーる様)
『ALISについて考えてみた』(Eiji-S様)
そこで気付いたことは「正しく受け止めて成長し、より良い未来を創造する」というところが共通しているかなと。
ふちゃんぷーる様は「ご自身で正しく受け入れる」ことを、Eiji-S様は「受け止める時に忖度しない」ことをテーマに書かれています。
ご興味ある方は是非リンク先の記事へどうぞ。おすすめです。
どちらも興味深い記事ですが、Eiji-S様の記事で思い出したことがありました。
今回は補足として、そのことを書いておこうと思います。
私の夫は腕時計が好きなのですが、そんなこんなで高級路線の機械式腕時計はスイス勢の牙城であることを知りました。
(「そんなこんな」では、腕時計を買う買わないで引き起こされた言い争い等も含まれます。笑)
で、夫によると、スイスの腕時計業界を立て直したとある名高い経営者は、高い腕時計を売るためには「お客さんに未来の夢とロマンを提示することが不可欠」と語っていたらしいです。
それに対して、日用品の経営も成功させたことのある別の名経営者は「日用品は何でも即対応しなければならないところが、高級品とは違う」と語っていたらしいです。
(ここら辺の話はまた、後日書いていこうと思います)
未来ですよ先の話ですよ日本の会社様は現在の機能や性能の話しかしないんですよ……。
そんなスイスの高級腕時計の一つにブライトリング様があります。
昨年だか一昨年だかに、ここの看板モデル「ナビタイマー」の完全復刻限定モデルが出ましたが、その総合指揮をしていたのがフレッド・マンデルバウム氏でした。
何がすごいって、このマンデルバウム氏は素人です。
ブライトリングの熱心なコレクターで、収集した腕時計の質量ともに世界一と言われていますが、腕時計のお仕事には一切携わったことはないとのこと(SNSでCEOのジョージ・カーン氏と意気投合したらしい。ちなみにカーン氏は上記「日用品の経営も成功させたことのある別の名経営者」です)。
(参考『新生ブライトリングに影響を与えた男、フレッド・マンデルバウムとは?』FORZA STYLE様より)
その完全復刻っぷりは凄まじいものでした。
その一、風防はサファイアガラスではなく、プラスチック
その二、裏蓋はねじ込み式ではなく、はめ込み式
その三、文字盤の色の再現で新規の塗料メーカーを採用
その一は現在のお客さんからのブーイングを受け、その二は技術者さんからのブーイングを受け、その三は経営者さんからあいたたた(>_<)と言われましたが。
「No compromised!(決して、妥協しない!)」
と言って、全部突っぱねたわけですよマンデルバウム氏は。
そしてその提案をCEOジョージ・カーン氏は了承しました。
結果としてどうだったのかと言いますと、この復刻版のナビタイマーは世界で大好評だったそうです。
そういうわけで、完全復刻版の第二弾として「クロノマット」という、同社の「ナビタイマー」と甲乙つけがたい看板モデルでも出すことになりました(クロノマットの画像の方は省略します)。
すると、裏蓋がねじ込み式になっていたんですねー。
上記「その二、裏蓋はねじ込み式ではなく、はめ込み式」のところです。
これを見た瞬間、夫は……
「あっ、妥協しはった」
……と、思ったそうです。
決して妥協しない男が何故妥協したのか?
やはりこれは「一緒にお仕事をしているうちに、技術者さんと仲良くなってしまった(から、言えなくなってしまった)」のが、最も考えられる理由でしょう。
はめ込み式って、今は用いられている腕時計はないと言っても良いぐらい、技術者さん泣かせな方法なのだそうです。
それでずーっと「これ、俺ら、めっちゃ辛いんですよねー」とか言われ続けていたらつい、じゃあ普通のねじ込み式で……と、なってしまったのではないかと。
これはどうなのかと言いますと、やはり「サファイアガラスやらねじ込み式やら、そういうのが一切排除されて再現性が高いモデルでないと。さすがはマンデルバウム氏!」と思っていた一部の熱苦しいファンをがっかりさせる結果になります。
やはりこういう「生活に必要のない贅沢品」というのは、一部の熱狂的なファンに向けた象徴的なモデルっていうのは大事にしなきゃならんと私は思うんですよね。
というわけで、今回は「決して妥協しない男でも、一切の忖度をしないということは難しいものである」というお話しでした。
(人としては「マンデルバウムさんは良い人だー」と思うんですけどね)