それは企業が業界内、またはすべての企業と比べて平均を上回る収益を得る必要があるからだ。投資家は平均を上回る収益性がない企業または事業から引き上げる可能性がある。なぜなら他の企業や事業に投資するほうがよいと考えるからだ。そうなればおのずと企業は倒産することとなる。
そもそも戦略とは何のか?
戦略とはコアコンピタンス(企業特有の技術や組織能力)を開発し競争優位(競合他社が真似できない、もしくは真似をするのに多くの経済的、または時間的コストが必要となるような能力)を獲得するために統合、調整された意思と行動からなる。そして戦略的競争力を持つ企業は価値創造の戦略をスムーズに考え、実行した場合、達成する。
戦略を達成するまでの道筋は?
大きく分けると戦略要因分析と戦略の策定と実行の3つに分けられ、さらに戦略要因分析は外部環境分析、内部組織分析に、戦略の策定は事業戦略、競合との競争関係、企業戦略、企業買収と買収後の対応、国際戦略、協調戦略の6つに、戦略の実行はコーポレートガバナンス、組織構造と管理、戦略的リーダーシップ、戦略的アントレプレナーシップの4つに分けられこれらが組み合わさることで業績として結果が出るのである。
ますます戦略は重要になる
現在の企業を取り巻く競争環境は激しく猛スピードで変化している。例えばコロナウイルスによって新たな事業を立ち上げなければ倒産の危機に追いつめられる可能性もある。経営学では主にこのような競争環境の激化の原因を大きく2つに分けている。一つはグローバリゼーションの発展、2つ目が技術変化の質、量ともに発展したことである。
グローバリゼーションが与えた影響
グローバル経済によって製品、サービス、人材、技術、アイデアが自由に国境を超えるようになったことは事業展開の機会の創出にもつながったがその分事業にとっての脅威も増大するようになった。市場が大きくなったことにより今まで企業が持っている競争優位ごと国外に持ち出して世界規模での競争力を手にすることもできるようになった。例えばトヨタは燃費がいいかつ安全性と耐久性がある車の生産をしているという企業イメージを海外にも波及させたことで多くの利益を獲得することとなった。このような機会と脅威の増大がさらに企業間の競争を激化させこの競争が企業の競争優位を得ることにつながり、逆に競争優位を得ることができなかった企業が倒産に追い込まれるようになった。海外に進出することが必ずしも競争優位を得るうえで重要ではないということもある。理由としては海外企業であることの不利を受ける可能性がある。例えば中国製だから買わないと感じる日本人が多い。もう1つは競争優位を獲得するまでの期間が国内よりも長期化する傾向がある。これは言語や文化の差、管理の難しさなどがあげられる。
技術変化の加速化
大きく分類すると3つ。技術の普及速度と破壊的技術、情報化時代、高い知識集約性の必要性の拡大である。
技術の普及速度と破壊的技術は20年以上生きてきた人々なら感じるはずである。ケータイはスマホへ、テレビからインターネット配信サービスへ、ショッピングはECにと生活が大きく変化し私たちは更に豊かな生活を手に入れることができるようになりました。その分企業は苦労するのです。技術の普及速度は格段に速くなりました。理由としてはインターネットによる情報の収集、拡散の加速化、製品寿命の短命化があげられます。インターネットに関しては言わずもがな、問題は製品寿命の短命化です。今までは国内だけで戦っていれば問題なかったような業界でも世界と戦うとなるとそのプレイヤー数は格段に増えます。そうなると製品の細かな改良やバージョンアップといったじりじりと進めるイノベーション(漸進的イノベーションといいます)をしていては競争優位を獲得、維持するのは難しいのです。そのために注目を集めているのが破壊的技術(イノベーション論的にいうと非連続的イノベーション)です。これは今まで提供されていた製品やサービスとは全くもって違うけど提供する価値は同様の技術のことです。例えば情報伝達手段であれば、狼煙→伝書鳩→郵便→電報→電話→電子メール→SNSといったような形で発展しています。アップルはまさに破壊的技術を開発したことで(iPodの開発、iPhoneはiPodの応用、つまり漸進的イノベーションとされています)一気に世界1の企業といっていいほどの企業に成長しました。
またITによって競争環境は劇的に変化しました。これを直接的に用いる製品・サービスももちろん発展しましたがそれ以上に大きな影響を与えたのが情報を効率的に膨大な量を扱うことができるようになったという点です。今まではこのように情報を扱おうと思えば多くの人手と広大な市場で活動すること、つまり大企業の特権のような能力でした。しかし中小企業でもこのような能力が使えるようになったことで競争優位を磨く上での情報収集が簡単かつ膨大にできるようになった。
最後の高い知識集約性の必要性の拡大の原因は競争優位を生み出すためにはどうしても知識が必要になってしまうからです。そしてその知識を活用、応用することが求められるために集約する必要があるのです。現在製品を1つ開発するだけでも多くの知識を必要とします。例えばパソコンであれば電子工学だけではまず消費者の求める価値を持った製品は完成しないでしょう。これにプラスして芸術(デザイン面)、人間工学(使いやすさ)、経営学(サービス面)など多くの知識を有していなければ本当に価値のある製品を消費者に提供することはできないのです。このように知識を集約させておくことは企業に柔軟性を与えることにもつながります。例えばソニーはスマホの登場の後にスマホの開発に即座に取り掛かる土台がありました。半導体、携帯電話、音楽プレイヤー、パソコンなどスマホに必要とされる技術はあらかた持っていました。初代iPhoneの発売は2007年ですがソニーはそれから3年後の2010年にXperiaの初代を発売しました。いまだにiPhoneの後塵を拝していますがそれでも日本企業では唯一まともにスマートフォン業界に生き残っている企業といえるでしょう。
以上のようなことから経営戦略は必要なのです。今後も経営学について学んだ知識をアウトプットしていきますので楽しみにしていただけるとありがたいです。