「微生物のはなし」第1回目です。でも、今回はちょっと“お勉強”っぽいはなしなので、面白くないかもしれません…。
みなさん、微生物といえばどんなものを思い浮かべますか?
・O157で有名な大腸菌?
・お風呂場に生えてくるイヤーな感じの黒カビ?
・最近では栄養食品としても売り出されているミドリムシ?
・理科の実験でお馴染みのゾウリムシ?
・冬の季節はご用心!インフルエンザウイルス?…
微生物には「肉眼で見ることができない微小な生物」という定義があります。この定義に基づくと、上で挙げたものはすべて単体では肉眼で見えないので、微生物の仲間たちとなるわけですが…。
皆さんの中には「どれも微生物だから同じようなもんやろ…」といった感覚の方も大勢いるかと思います。
でも、実際にはそれぞれ全く違う種類の生き物で、大腸菌は「細菌(バクテリア)」、黒カビは「真菌類」、ミドリムシは「微細藻類」、ゾウリムシは「原生動物」、インフルエンザウイルスは「ウイルス」の仲間となります。
ということで…
同じように、私達の身の回りで比較的耳にすることが多い微生物たちをそれぞれ分けてみました。
細菌(バクテリア):大腸菌、納豆菌、乳酸菌、ニキビ菌、ピロリ菌など
真菌類:黒カビ、青カビ、白癬菌(水虫の原因菌)、パン酵母、ビール酵母、各種キノコ(キノコは微生物です!)など
微細藻類:ミドリムシ(ユーグレナ)、クロレラなど
原生動物:ゾウリムシ、トリコモナス、赤痢アメーバなど
ウイルス:インフルエンザウイルス、ノロウイルス、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)など
でも…
テレビや雑誌、ネットニュースなんかを見ていると、「インフルエンザやノロウイルスなどの細菌感染にはご注意を!」とか、「パン酵母などのバクテリアは私達の生活に役立っていて…」、「キノコなどの植物を…」といったセリフや文章が、たま〜に出てきたりします。これ、全部間違いなので、注意してくださいね。
ちなみに…
ゾウリムシとともに、子供の頃から理科の実験や教科書などでよく出てきたミジンコですが、これは微生物ではなく動物です。エビやカニなどの甲殻類の一種なのです。
最後に…
今回紹介した細菌、真菌類、微細藻類、原生動物、ウイルスの特徴を簡単に書いておきます。
細菌:バクテリアともいう。遺伝物質(DNA)が「核」という膜構造の中に入っていないのが特徴(原核生物といいます)。私の主な研究対象は細菌です!
真菌類:単に菌類ともいう。細菌と違って、遺伝物質が「核」の中に入っている(真核微生物といいます)。ちなみに、人の細胞も遺伝物質は「核」の中に入っています。
微細藻類:植物と同じように光合成をする微生物の一種(細菌に含まれるシアノバクテリアも光合成をしますが…)。
原生動物:原虫とも呼ばれる。微生物なのに動物っぽいのが特徴(運動性がある)。
ウイルス:遺伝物質(DNAまたはRNA)とタンパク質で構成されていて、自分だけでは子孫を残すことができない。なので、無生物とする説もある。
その他(参考):アーキアという微生物もいます。太古の地球環境に近い環境(高温、強酸性など)からよく発見されます。細菌と同じく原核生物の仲間です。
それぞれのサイズをスケール上に並べると次のような感じになります。
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