これは、京都お寺マニアの中ではかなりのニュースになっていました。
いや京都だけでなく、全国の寺社ファンの間でも話題のようです。
なにがニュースかというと、これまで公開されていなかった京都山科・安祥寺(あんしょうじ)がこのたび期間限定で初公開となりました!
俗っぽい言葉でいうと、非常にレアなのでニュースになったということです。
この特別公開は天皇陛下御即位奉祝 春期京都非公開文化財特別公開の一環で、令和元年のゴールデンウィーク中の短期間公開されました。
今回は、この安祥寺を訪ねます。
安祥寺への交通は便利です。
JR東海道線の山科駅から、徒歩にて10分程度で到着です。
安祥寺の前には琵琶湖疏水が流れます。
新緑がきれいですね。
早くも安祥寺に着きました。
写真では少しわかりにくいですが鉄の門があり、ここから先は今まで一般の拝観者が入ることができなかったのです。
それが今回、初めて鉄の門戸が一般の参拝者にも開きました!
ワクワクしながら入ります。
木立の向こうに安祥寺の本堂が見えてきました。
なぜ、安祥寺の初公開がそんなに注目されているのでしょう?
安祥寺は仁明天皇女御で文徳天皇の母・藤原順子の発願により、入唐僧・恵運によって創建されました。
天皇の母が関係した寺であることから、定額寺という格式の高いお寺になりました。
そんなお寺なら見たいですよね。
また、安祥寺は京都盆地の東にある山科(やましな)盆地の北端に位置します。
昔は山科盆地の北にある広大な山を境内としており、現在ある「下寺」の他に山の中の「上寺」もあり、山中に多数のお堂が配置されるとても大きなお寺だったので、注目度が高いのです。
さらに国宝「木造五智如来坐像」、重要文化財「木造十一面観音立像」等の貴重な文化財を所蔵することでも注目されています。
安祥寺本堂。
この中に御本尊である重要文化財の十一面観音像が安置されています。
もちろん、初めてお目にかかります。
残念ながら撮影は禁止。
でも安祥寺の入口の看板のこの観音像の写真があったので、それを撮ったのがこれです。
金箔がかなり残っており、光り輝くそのお姿はとても美しかったです。
安祥寺の建物は何度も火災にあい、現存しているのは江戸時代後期に再建した本堂と上の写真の地蔵堂、下の写真の大師堂の3つの建物のみとのことです。
こちらは大師堂。
さて、これだけ立派な歴史と規模を持っていたお寺なのですが、今まで一般公開されていませんでした。
僕は山科に住んでいたこともあるのですが、山科駅の北に安祥寺という地名があるのに、そんなお寺は見たこと無いと思っていました。そりゃ非公開なので見たこと無いですよね。
この日はお寺の近所の方も拝観に来られていました。地元の人でも珍しいんです。
どうして拝観謝絶だったのだろうと思っていたら、たまたまご住職の奥様からお話を伺うことができました。
奥様はこれまで公開されなかった理由として、先代の住職が高齢だったので公開する準備が大変で難しかったからだろう、と話されていました。
今のご住職は2年前に住職になられたとのことです。その後に京都市から特別公開の話があり、このたび期間限定で初公開に踏み切ったとのことでした。
公開の準備をするのはやっぱり大変だったとのことです。そりゃそうですよね。
さて、御朱印も書かれるとのことで、いただきたく思います。
えっ?
いっぱい並んでる!
初公開で今まで御朱印もいただけなかったのですから、人気なのでしょう。
それにご住職一人で書かれているのでどうしても時間がかかってしまいます。
この時間はお昼すぎだったのですが、ご住職は朝からトイレにも行かず、ずっと書き続けておられるとのこと。
ちょっとだけお昼ご飯を食べてトイレに行くので、15分休憩させてくださいとのことでした。
ちまたでは御朱印の待ち時間が長いとトラブルになっていることもあるようですが、ここ安祥寺では待っていた方から15分では短いのでゆっくりしてくださいと言う声が出ていました。
さすが、知る人ぞ知るお寺だけあって御朱印マニアが多く?、スタンプラリー感覚で御朱印を集めるつもりの人は少ないのでしょう。
ということで、1時間くらい待ってご住職の書かれた御朱印をいただきました!
もちろん、ALIS御朱印帳に。達筆ですね。
結局ご住職の休憩時間は5分位でした。トイレに行って一口だけ食べて戻ってこられたようです。
戻ってきたあとには、並んでいる人を相手に御朱印を書きながら食事についての法話をされていました。
とてもパワフル。
ご住職いわく、僧侶は腹の虫が最低限収まるくらいの食事をすれば十分なので、5分の昼食時間でも問題ないと。
そして食事とは命をいただくことであり、感謝していただきますという気持ちを持ってほしいというお話でした。
お疲れのはずでイライラしてもおかしくない状況なのに、ここまでされるとはすごいなぁと思いつつ、御朱印を拝受しました。
初夏の強い日差しと青空、山の新緑、そして一点の赤という美しい景色をもう一度目に焼き付けて、初公開の安祥寺を去りました。
あっという間に冬から夏へと季節が変わって戸惑っていますが、季節の早い動きに負けないように生きてゆきたいと思います。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4
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