京都嵯峨野の奥、山に近い鳥居本という静かな場所に化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)があります。
今や世界的観光地である嵐山嵯峨野でもここは中心地から遠いので、訪ねる人は比較的少ないお寺。
そんな静かな化野念仏寺を、夏の緑がまぶしい季節に訪ねました。
木漏れ日が夏の暑さを感じさせる石段を登り、化野念仏寺へ。
この地は京都盆地の西北の端に位置する、平安時代からの葬送の地。
風葬(亡骸を鳥に食べさせる、鳥葬)をしていた場所です。
京都の葬送の地って、他にも記事にしてます。
この記事に出てくるのは鳥辺野(とりべの)。
京都は三大風葬地というのがあって、それはこの化野(あだしの)と鳥辺野、そして蓮台野なんです。
そんな少し重い雰囲気で、化野念仏寺の中に入ります。
一面に岩が。何ですか、これ?
このゴロゴロしたのは石仏です。しかも無縁仏。
化野は平安時代からの風葬の地なので、この辺り一帯にたくさんのお墓がありました。
それが長い年月を経て荒れ果て、無縁仏になったんです。
明治になって、荒れ果てたお墓から石仏を集め並べたのがこの場所。
この石仏が並ぶエリアは結界のごとく四方が壁で区切られており、「西院(さい)の河原」呼ばれています。
では、西院の河原に入ってみましょう。
西院の河原は壁で結界で区切られています。
この鐘の下をくぐって結界の中に入ります。
看板に書かれているように、西院の河原の中からの撮影は禁止なので、間近からの石仏の写真はありません。
なぜ撮影禁止かって?
それは、見えていないものが写るからでしょうね。
結界の中の雰囲気は、空気が重い…。
こんなに暑く良い天気なのに気分が高揚することはなく、重たい空気で暑さはあまり感じないのです。そして、不気味な静けさがあります。
気分が悪くなってくるので、あまり長居はできないですね。
では、西院の河原の結界から出て、御朱印を書いていただきましょう。
御朱印には「無縁仏の浄土」と書かれていました。そのとおりですね。
ほったらかされて荒れ果てるより、はるかに良い環境なのではないでしょうか?
達筆な細い字です。確か女性の方が書いてくださっていました。
重くなった気分を休めようと、夏らしい百日紅と青空を眺めて休憩です。
有名な、つもりちがい十ヶ条が目立つ場所に張ってあります。
自らを戒めねば…。
さて、落ち着いたところで化野念仏寺を出ました。
化野念仏寺の前の道は愛宕街道といわれ、きれいに整備されて昔の建物が残っています。
青い空と白い雲、百日紅や人力車とあいまって日本の夏ですね。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm
ここで、ふと思うことがありました。
こんな天気のいい昼間でさえ、独特の重い雰囲気を持つ化野念仏寺。
夜になったら、一体どんな雰囲気になるのでしょう?
夜はもちろん拝観できないので雰囲気は分からないのですが、実は夏に二日間だけ夜の拝観ができる機会があります。
とならば、行って雰囲気を感じてみましょう!
ということで、後編、化野念仏寺 夜の部ををどうぞ。
夜はもっと重かった…。
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