京都に桜の名所は数あれど、今回訪れる場所は知る人ぞ知る名所なんです。
そこは何といっても豪華で、一面どこを見渡しても満開の桜や春の花たちに囲まれる、まさに百花繚乱の花園なのです。この豪華さは京都一だと思います。
その場所とは、原谷苑(はらだにえん)。
えっ、お寺や神社、公園じゃないの?
原谷苑は京都盆地の北西部、原谷地区にあります。
原谷(はらだに)はその名の通り、山中にポツンとくぼんだ谷の土地なんです。
この場所は本記事でのポイントになります。
後で解説しますので、ぜひ下の地図に示した山中にポツンと開けた原谷の位置を覚えておいてください。
原谷苑のある原谷はかなり不便そうな場所ですがその通りで、交通手段はバスとなります。
京都駅から京都市営地下鉄烏丸線に乗り北大路駅下車。駅直結の北大路バスターミナルから京都市バスM1号系統に乗り換えて、終点の原谷バス停下車となります。
ただしバスの便は1~2時間に一本しかありません。さらに、このバスは地元の人の交通手段ですので、観光客の乗車は原谷苑が推奨していません。
さてどうしよう?
マイカーで行こうにも、この時期には駐車場はありません。
となるとタクシーか徒歩(ハイキング)なのですが、実は原谷苑さんが便利な手段を準備してくださっています。
それが、原谷苑シャトルバス。
便利、しかも無料!
このバスは、原谷苑と西大路通のわら天神前とを直行でむすんでいます。
わら天神前バス停には京都市バスがたくさん運行しており、わら天神前バス停で市バスからシャトルバスに乗り換えることになります。
シャトルバスは桜のピークでお客さんが多いときのみ運行です。
ということで、シャトルバスに乗って原谷苑に到着!
バスは原谷苑の西門前に到着します。
入場料は大人1500円とあります。
えっ、高いって?
いえいえ、1500円では安いくらいの凄さなのです。
ちなみに、入場料は変動制です。
桜があまり咲いていない時期や散りつつある時期は安くなり、桜の季節が終わると公開自体が終了となります。
この1500円は最高額なので、この日は桜のピークということですね!
原谷苑内の略図。
端と端である西門から東門まではさっさと歩いたら5分くらいの広さですが、花を見ながら苑内を回ると結構時間がかかります。
ひとことで言って、苑内はどこを歩いても桜などの花だらけです。
うわー、満開の桜!
青空に濃いピンクが枝垂れて、とても映えていますね。
360°見渡して、すべて花だらけなんです。
桜は満開だわ、ユキヤナギの白やレンギョウの黄色など他の花もカラフルで百花繚乱。
強くなった春の日差しと、しだれ桜の濃い桃色が目に眩しいです。
さて、この花園の原谷苑って一体誰が運営しているのでしょう?
お寺や神社の庭園? あるいは京都市なんかが運営している公園?
いえ、違います。
原谷苑はなんと、個人経営のお庭なんですよ!
スゴい…。
原谷苑を運営されているのは村瀬さんという方で、村瀬さんが運営する村岩農園という土地の一角に桜などの花を植えたことが始まりとのこと。
今では、農園よりこれらの花々がメインのように見えます。
花園のベンチに座ってゆっくりしたいところですが、あまりにもカラフルで鮮やかすぎる光景なので、落ち着かないくらいです。
ベンチの前には鮮やかなツツジも満開で、ちょっと初夏になってきています。
さて、ここ原谷(はらだに)という土地は、一番最初に載せた地図のように京都盆地北西部の山の中にある谷です。
周りは山ばかりの中でポツンと開けた土地です。
どうして山中にポツンと開けた場所があるの?
この場所には興味深い歴史がありました。
ここ原谷はかつては京都のゴミ捨て場のような荒れ地だったとのことです(原谷苑オフィシャルサイトより)。
その荒れ地を終戦後に農地として開拓したとのこと。開拓したのは満州から引き揚げてきた方々です。
ここは荒れ地なので開拓はなかなかうまくいかず原谷開拓団の方々は非常に苦労をされましたが、徐々に苦労が実ったようです。
そして今では京都のベッドタウンとしてたくさんの方が住んでいます。
このあたりの歴史は興味深く、終戦後に外地から引き揚げてこられた方々の生活と仕事をどうするかという国が直面した大きな課題の一面を見ることができます。
Wikipediaには原谷開拓の事情について詳しく書かれていますので、興味があれば読んでください。
そして原谷苑がここ原谷にあるのは、原谷開拓団から農園の誘致があり移転したからとのこと。
農園にしては荒れ地で農作物は育たなかったのですが、桜などの木や花は育ったので花をたくさん植えて、今日では百花繚乱の花園になったとのことです。
さらに原谷苑を散策しましょう。
椿もたくさん咲いていて、桜をバックにした大きく端正な花が豪華です。
花見の席もあって、囲まれた花々を見ながら販売されているお弁当などをお座敷で食べることができるようです。
桜や椿が額縁庭園になって、絵画のように見えますね。
素晴らしいです。
ピーカンの天気で直射日光にやられ、花だらけでクラクラしてきます。
気持ちが悪くなるくらい百花繚乱、凄すぎるのです。
花酔いというのが実感できました。
さて、原谷苑はこんなに豪華な花園なのですが、今までの写真で人が写り込んでないことに気づかれたでしょうか。
上の写真では歩いている人やベンチに座っている人が少し写り込んでいますが、この程度の人出でなんです。
今年は異常に開花が早かったこと(訪問日は3月末)やこの日は平日だったこともあり空いているのですが、例年でも大混雑にはならない程度かと思います。
やっぱり知る人ぞ知る桜の名所だ。
真っ赤な木瓜(ぼけ)の花と、真っ白なユキヤナギ。
紅白の対比が美しい。
最後にもう一度、百花繚乱の花園を目に焼き付けて帰りましょう。
この花だらけの光景、すでにかなり焼き付いていますが…。
原谷苑の東口。ここから出ます。
右にちょっと見えているのは原谷苑を運営する村瀬さんのお家。
個人経営でよくこんな素晴らしい花園を作り上げられたと感心しきりです。
実は、帰りも無料のシャトルバスに乗ろうとしましたが満員。次の便は45分後とのことで諦めました。
でも、タクシーで来られる方も多いので、その方が降りた後に乗せてもらいタクシーで原谷苑を後にしました。
タクシーの運転手さんは原谷苑に入ったことがないとのことで入場料を聞かれたので1500円と答えると、それだけの値打ちがあるんですか?とも聞かれました。
原谷苑、タクシーの運転手さんでも詳しく知らないんだね。さすが知る人ぞ知る桜の名所。
はい、1500円+タクシー代の値打ちは十分ありますよ!
ということで、原谷から下界に降りてきて今回のお散歩は終了。
花が豪華すぎて、頭がクラクラと花酔いするくらい素晴らしかったです。
みなさま、この百花繚乱の中に身を置く経験を一度はしてみてくださいませ。
Camera: OLYMPUS OM-D E-M5 Mark Ⅱ
Lenses: LEICA 12-60mm F2.8-4 with C-PL filter, OLYMPUS 9-18mm F4-5.6, OLYMPUS 9mm F8 fisheye
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