京都も真冬。
そして、冬といえば雪!
京都市街地ではあまり雪が降らず、降っても積もらずすぐ溶けますが、山の方まで行けば素晴らしい雪景色を見ることができます。
今回は京都の雪景色の名所中の名所である大原を訪ねます。
その大原の中でも、庭園を額縁に見立てた額縁庭園が素晴らしい宝泉院(ほうせんいん)に参拝。
さすが名所だけあって、素晴らしい雪景色でした。
大原は京都市の北東の端、周りを山に囲まれた小さな町です。
滋賀県との県境にあります。
地図を見ておわかりのように、京都市街から遠いですねー。
大原へ行く交通手段としては、鉄道は通っていませんのでバスになります。
有名観光地だけあって京都駅や四条河原町、京阪電車出町柳駅などのターミナルからたくさんのバスが出ています。
その中で一番早くてオススメなのは、京都市地下鉄の国際会館駅からのバスです。
京都バスが約30分間隔で出ており、23分ほどで大原バス停に到着します。
ということで、大原バス停到着!
ここはバス停というよりは、係員のいる屋根付き待合室やトイレ、飲食店併設のバスタ新宿も真っ青?の充実したバスターミナルです。
おおー、すっかり雪景色!
ここから徒歩で約10分の目的地へ向かいます。
山里の素敵な雪景色を見ながら進みます。
雪道を滑らないように歩きつつ、宝泉院に到着!
寒く静かで、凛とした雰囲気に包まれています。
山門をくぐって境内に入らせていただきます。
お地蔵さんも雪の傘をかぶっていて、雪の景色が目に馴染んできました。
では、建物の中にお邪魔しましょう。
ときどき日が差して、それもまた良い感じ。
宝泉院庭園。
雪の白、竹の緑、木の幹の黒、そして毛氈(カーペット)の赤と、雪景色ながら白一色ではなく落ち着いた色が散りばめられていますね。素敵です。
そして、この庭園の特徴としては、真中少し右の角の柱を境にして右と左とで全然景色が違うのです。
まずは柱より右手の景色。
この光景は額縁庭園と呼ばれ、宝泉院の名物です。
左右の柱と上下の鴨居と敷居で区切られて額縁に見立てています。
ここ宝泉院の額縁庭園は、全国でも最も有名な額縁庭園とされています。
そして、この左を見ましょう。
こちらの額縁庭園は樹齢700年の五葉松。京都市指定の天然記念物です。
太く力強い幹や枝に雪が積もっているこの光景は、左横の竹林と山の光景と全く違った光景を見せてくれます。
左右に少し視線を変えるだけで全然違う景色が見られる、これが宝泉院額縁庭園の素晴らしさのひとつだと思います。
この庭園は盤桓園(ばんかん、立ち去りがたいの意)と名付けられています。
大原の山を借景として竹などの木々を配し、手前には蹲(つくばい)が置かれています。
特に冬は竹以外の木の葉っぱは落ちてしまうため、借景の山が見通せて見晴らしの良い景色となり、さらに庭や山に雪が積もると絶景になり、それを額縁庭園として見ることができるのです。
このいくつもの要因が重なる景色、さらに横を見ると五葉松の庭園という違う景色が見られる、それがユニークなので宝泉院庭園は世界的に有名になりました。
もちろん、桜や紅葉の時期など季節によって大きく表情を変えることも宝泉院庭園の魅力です。
そして、手前の蹲の下は水琴窟になっています。
手水鉢から流れる水が地下の空洞に落下し、その反響音を空洞に差した竹筒を通して聞くことができます。
耳からも風流を感じることができるのです。
宝泉院では素晴らしい雪景色を見ながら、お抹茶をいただけます。お抹茶の代金は拝観料に含まれています。
寒い中でいただく抹茶の味わいはまた格別です。
お茶菓子は梅干しではありませんよ。つぶあんのお菓子です。
「ひととき」と名付けられた、一乗寺の和菓子屋さんが作る宝泉院オリジナルの和菓子だそうです。
甘すぎず、ニッキ風味が効いていて抹茶とよく合います。
少し開けられた窓から覗かせる庭園もまた風流ですね。
さて、景色ばかりに見とれずに天井も見てみましょう。
宝泉院の天井は「血天井」として有名です。
上の写真は天井の板です。よく見てください。
丸で囲んだように、左の方に足跡があります。右にも横向きの足跡が見えますね。
これは血で染まった床板の足跡なのです。
西暦1600年に起こった関ヶ原合戦の前哨戦である伏見城の戦いにて、豊臣の大軍に負けてしまった徳川の忠臣・鳥居元忠以下数百名は京都・伏見城の中で自刃しました。
その自害した血痕が床に残っているのです。
自刃した武将達の霊をなぐさめるために徳川家が京都のお寺に依頼し、自刃した床板を天井にして祀り供養されています。
この伏見城の血天井はここだけではなく、養源院や源光庵など京都の他のお寺にも分散されて残っています。
この血の足跡は小さく、おそらくまだ子供と言ってもいいくらいの若武者のものではないかとお寺の方が説明してくださいました。
奥から見た庭園。
実はこの写真を撮っている場所に座布団が敷かれており、ここに座って見る景色が最高とお寺の方が説明してくださいましたので座っています。
確かに素晴らしいです。
それにしても、この広い光景を誰も写り込まないように撮れるのも素晴らしい。
宝泉院庭園の雪景色は有名なのでそれなりに参拝客がいるのですが、みなさんここの庭園の素晴らしさをわかってこの不便な場所を訪ねている人ばかりなので、人の写真に写り込まないように配慮して動かれています。
他の庭園ではよくある、一番写りこみやすい角の赤い毛氈(カーペット)に座ってカフェとばかりに長々とおしゃべりするおばさん方や、景色を見ずに延々とスマホをいじる女子はいません。
参拝客のマナーの良さもまた素敵。
こちらは宝泉院の別の庭園。鶴亀庭園と名付けられています。
鶴の形をした池は水面が凍り、美しい雪景色です。
筧から流れる水も寒く冷たく、しかし清らかで凛とした雰囲気があり、雪景色にアクセントをつけていると思います。
立ち去り難いという意味の庭園「盤桓園」を見ているとほんとに立ち去り難く、時間が経ってしまいました。
寒い中ではありますが、この時期でしか見られない素敵な雪景色に満足しつつ宝泉院を去りました。
いや、景色に気を取られて寒さをあまり感じなくなったような…。
みなさま、風邪やコロナにはお気をつけて、寒い冬を乗り切ってくださいませ。
次回続きで、実光院と三千院を訪ねます。
Camera: LUMIX G8
Lenses: LEICA 12-60mm F2.8-4, OLYMPUS 9-18mm F4-5.6
Color Temperature: 3500-4000K
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