気候がよくて、新緑が鮮やかな季節。
この季節は散歩日和なので、今回も京都の名所へお出かけしましょう。
今回は、京都山科の勧修寺(かじゅうじ)と随心院(ずいしんいん)を訪ねます。
どちらもとても格式が高く見どころ豊富で庭園も美しいお寺ですが、訪れる人はそれほど多くなく比較的ゆっくりと拝観できます。
なぜ、訪れる人がそれほど多くないかと言うと…。
この地図のように勧修寺と随心院は京都盆地から東山を越えた場所(山科盆地)にあり一見行きにくそうなため、やや注目度が低いからではないかと思っています。
でも、実は交通は便利。
交通手段は京都市営地下鉄東西線の小野駅から徒歩5~6分と、アクセスしやすい場所にあります。
地下鉄小野駅の階段を上がり、地上に出てきました。
案内には随心院まで徒歩5分、勧修寺まで徒歩6分とあります。
ではまず、勧修寺から訪ねましょう。
小野駅から歩いて6分くらいで勧修寺(かじゅうじ)にやってきました。
山門をくぐって、お庭を拝見しましょう。
庭園は五月晴れ!
青空と新緑が素晴らしく、その中にも紅が混じっています。紅はノムラモミジでしょうか。
とても清々しい景色です。
振り向くと立派な宸殿が。
これは明正天皇の御殿をいただいたもので、江戸時代初期の御所の建物とのこと。
格式が高いですね。
ここ勧修寺は代々皇室関係の方が住職を務められた門跡寺院、その中でも十三門跡と呼ばれる日本に13ヶ所しかないとても格式が高いお寺です。
確かに優雅な感じがしますね。
ここは醍醐天皇の勅願寺(天皇が国を護るために指定した寺)です。
書院南庭にはちょっと変わった形の灯篭が。
これは、勧修寺灯篭(かじゅうじとうろう)と呼ばれる形の灯篭です。
水戸黄門様の寄進とのことで、「京都へ来られたら必ず見て通ろう(とうろう)」と言われる灯篭。
いや、このダジャレは説明の立て札に書いてあるのですよ。
勧修寺灯篭は低木に囲まれて全景が見えませんが、この低木がまたすごい。
ハイビヤクシンという木で、樹齢なんと750年で我が国無双の名木(勧修寺公式絵はがきによる)とのこと。
勧修寺、何もかもがすごい…。
さて、広々とした庭園「氷池園」でゆっくりします。
暑くはないのですが日差しは強いので、直射日光にあたりすぎるのは注意です。
右奥に見えるのは、観音堂です。
勧修寺のシンボル的な存在で、勧修寺を紹介する写真ではよく観音堂が写されています。
観音堂を含むこの氷池園は、氷室池を中心とした広い庭園です。
初夏なので、池には睡蓮の花が咲いていて美しいです。
この氷室池は周囲を一周できるはずなのですが、「お立ち入りキケン」との表示が…。
うーん、キケンと書かれると入ってみたくなるのが人情。
調べてみると立入禁止ではなく(立入禁止の場所にはそう書いてあります)、木の枯れ枝が落下したり池には柵がなくハマったりする恐れがあるので注意喚起しているよう。
それなら、気をつけて入ってみようー!
キケン区域?から見た観音堂。
新緑と氷室池に囲まれて、堂々として美しいです。
春には桜が咲き、これまた素敵とのこと。
桜模様はJR東海「そうだ京都、行こう。」のテレビCMでご覧ください。
うん、見事な桜ですね。
一番奥から見た氷室池は青空が反射する水鏡で、とても落ち着きます。
ここまで来るとほとんど人も通りません。うっそうとしていて、なにせキケンですから。
氷室池という名前は、平安時代には毎年1月2日にこの池に張る氷を宮中に献上し、その氷の厚さによって五穀豊穣を占った(勧修寺公式絵はがきより)ことから名付けられています。
やっぱり皇室と関係するのね。
池を一周する小道にはキケンな割にはツツジも咲いていて、のんびりします。
池にハマらないように注意はしていますよ。
小道の脇にはこんな光景もあって、和みます。
さて、無事に池の周りを一周して戻ってきました。
水辺に咲く杜若(カキツバタ)が初夏を感じ、美しいです。
おっと、勧修寺は見どころ豊富なのでつい長居をしてしまいました。
名残惜しいですが、次に随心院を訪ねるのでそろそろ行きましょう。
勧修寺は通常、お堂に上がって拝観することはできません。
ただし、書院(重要文化財)の特別拝観がたまにあったようなので、今度機会があれば参拝できればいいなと思っています。
では、勧修寺の次に随心院(ずいしんいん)を訪ねましょう。
勧修寺と随心院はこの地図のように、地下鉄小野駅を挟んで近くにあります。
小野駅からはそれぞれ徒歩で5~6分ですから、便利。
随心院から山科川を渡って、随心院へ。
奥に見える白くて長い構造物は名神高速道路です。
このあたりは昔も今も京へ向かう交通の要衝なのです。
だから、勧修寺灯篭は京都の街中に向かう道すがらに「見て通ろう」なのでしょうね。
と、ダジャレを思い返している間に随心院(ずいしんいん)に到着です。
総門をくぐって進むと…。
小野小町(おののこまち)の歌碑がありました。
あまりにも有名な百人一首 九番、
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
ということで、この随心院は小野小町ゆかりのお寺なのです。
と言うか、気づかれましたか?
さっきから何度も書いている最寄りの地下鉄の駅名、小野駅ですよね。
このあたりは古来より「小野」という地名なんです。
小野小町はこの小野の随心院付近に住んでいたとのことです。
「小町」と言うのはその土地でもっとも美しい女性のことですから、「小野」で一番美しい女性で「小野小町」なのですね(随心院公式パンフレットを参考に記載、諸説あり)。
さて、庫裡からお堂に上がらせていただきます。
ここ随心院は先の勧修寺と同様に門跡寺院です。いただいたパンフレットには「随心院門跡」と大きく書かれています。
門跡寺院って大覚寺や仁和寺、三千院などが有名で、どこも上品で華やかな感じがします。
随心院庭園。
新緑がきれいです。
写真には写っていませんが、左手には池があります。
右の少し茶色で敷き詰められているところは苔ですね。
このように変化に富んだ、美しい庭園です。
こちらは能の間。
うわぁ、花でいっぱいになっています。なんで?
これはJR東海「そうだ京都、行こう。」の花咲く京都キャンペーンの一環で、能の間を花の間にしているとのことなのです。
このお部屋はなかなかフォトジェニックで、SNS映えします。
拝観の皆さんは写真を撮りまくっていました。
そして、ボケていますが奥の襖絵は「極彩色梅匂小町絵図」。
小野小町の一生をだるま商店というユニットが描いた、2009年の作品だそうです。
部屋の鮮やかなお花たちとよくマッチしています。
このお部屋、現代的で華やかですね。
門跡寺院の華やかさを現代風に解釈したら、こんな感じなのかもしれません。
能の間を出て見た本堂と庭園。
やっぱり青空と新緑が美しいです。
この本堂に安置されているはずの御本尊は、如意輪観世音菩薩坐像(重要文化財)。
「はずの」と言うのは、この御本尊は修復のためしばらく京都国立博物館へ移されていたのです。
それがこのたび修復が終わって帰ってきました!ということで、表書院にて特別公開がされていました。
この仏様は秘仏なので、拝見できたのはとてもラッキーな事でした。
納骨堂である小町堂前の庭園の新緑も美しいです。
では最後に、もうひとつの随心院名物を見て帰りましょう。
それは、小野小町が化粧をしたという井戸です。
小野小町はその井戸の水で顔を洗い、水鏡で化粧をしたのでしょう。
と言うことは。この井戸で顔を洗ったら美人になれるかも?!
期待を膨らませて井戸に向かいます。
これがその、小野小町化粧井戸だっ!
えっ…。
化粧井戸の水面に葉っぱがたくさん浮いているよ。これでは水鏡にはならないなぁ。
水はよどんでいるような感じて、とても顔を洗う気にはなりません。せめてもと、ちょっとだけ指を浸けましたが。
せっかくの小野小町の化粧井戸なのでもっと水をきれいにして、顔を洗うとまでは言わなくても井戸の水を顔に付けると美人になるよ!と宣伝したら観光客を呼べそうなのに。あるいは、小野小町化粧井戸の水から作った化粧水!とか売れそうなのに?
とか思いましたが、ここは門跡寺院ですからお上品に、そんな商売っぽいことはされないのでしょうと勝手に推測していました。
そろそろ夕方で、雲行きがあやしくなって来たので帰りましょう。
随心院には梅園があり、春先の梅が名物のひとつなんです。
今は新緑ですが梅園には入れませんでした。
また梅の季節に来たいな、と思いながら随心院を後にしました。
2023/03/22追記 梅の季節に行ってきました!
京都市営地下鉄の小野駅に戻ってきました。
雨が降らないうちに電車に乗って帰りましょう。
京都でも山科盆地である山科(やましな)や醍醐(だいご)には、勧修寺や随心院、あるいは世界遺産の醍醐寺のように名所がいくつもあります。
でも有名な東山界隈や嵐山などと比べて観光客が少なく、ゆったりと見て回れるのが良いと思います。
最近では、先に触れたようにJR東海の「そうだ京都行こうキャンペーン」などでも山科・醍醐のお寺がよくフィーチャーされています。それは京都の魅力をさらに発掘するとともに、観光客の分散を図るためかと思います。
確かになかなか魅力のある地域のように感じますね。
また季節を変えてまたこれらのお寺に散歩に行こうかな、と思いつつ帰路につきました。
Camera: OLYMPUS EM-5 Mark II
Lenses: LUMIX 12-60mm F3.5-5.6 with C-PL filter, 45-150mm F4-5.6, 20mm F1.7, OLYMPUS 9-18mm F4-5.6
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