京都の紅葉の最後を飾るにふさわしい場所、厭離庵(えんりあん)。
ここの散り紅葉を見ずして京都の紅葉は終われません。
個人的にはそこまで思って、毎年訪ねています。
といっても、厭離庵はあまり知られていません。
知る人ぞ知る、そして多くの人に知られてほしくない穴場なので、京都通の人はその魅力を語らずだまっています?
でも、ALISを読んで下さる皆さんには特別にご紹介です。しかも、紅葉の時期が終わってからの記事公開w
ぜひ来年の紅葉の時期に訪ねてみてください。
嵯峨野の住宅地の一角。この見落としてしまいがちな狭い道の先に厭離庵はあります。隠れっぷりが見事です。
紅葉の時期はこのような看板が一枚だけ出ていて、これだけが頼り。
(紅葉の時期以外はそもそも非公開。)
Googleマップを頼りに行こうにも入り口の反対側に誘導されて入れないという現代文明を拒否するかのようなトラップもあり、毎年たどり着けない人が続出?
厭離庵はオフィシャルサイトもなくまさに穴場、いや秘境と言えるでしょう。
小道を奥に入ると、山門が見えてきました。
厭離庵は非公開の寺院ですが、あまりにも紅葉が見事なので紅葉の時期のみ特別公開されています。
さて、いよいよお庭を拝見します!
厭離庵庭園。
なんですか、この一面の散り紅葉!
まさに血の池のように真っ赤です。
この血の色が、厭離庵の名物であります。
こんなふうに、苔の上に真っ赤なもみじがたくさん落ちているんですね。
実はこの血の紅葉は昨年(2017年)に撮影したものです。
今年は暖かくもみじの色づきが悪かったのと訪ねるタイミングがずれたので、血の池のような紅葉は撮れませんでした。
今秋は2回も訪ねたのに…。
厭離庵は紅葉の時期しか公開されず、御朱印もその時しかいただけないので、これはかなりレアなものです。
もちろんご朱印帳に直書きで、お坊さんが達筆の細筆で書いてくださいます。
何が書かれているのでしょう?
小倉百人一首 第97番
「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや 藻塩(もしほ)の 身もこがれつつ」
これは百人一首の選者、藤原定家の歌です。有名ですよね。
来ぬ恋人を想う女性の気持ちを歌ったもの。
ここ厭離庵は藤原定家の小倉山荘跡で、定家が百人一首を選んだところといわれています(諸説あり)。
そんな藤原定家ゆかりのお寺なので百人一首の歌を御朱印に書いていますと、書いていただいたお坊さんが言われていました。
そんな、とても風情のある厭離庵が僕は大好きなんです。
お庭から時雨亭(しぐれてい)を見ます。
「時雨亭」というのは藤原定家が百人一首を編んだ建物ですね。
ここはその時雨亭を再興する意味で大正時代に建てられた茶室。
広縁に差す木漏れ日が素晴らしく、縁側に座って前にある血の池を光景を見ると小倉百人一首が編纂された鎌倉時代にタイムスリップした感覚になります。
このタヌキさんが厭離庵のマスコット!
頭に紅葉を載せている愛らしい姿をみんな撮ってます。
秋の日はつるべ落とし、あっという間に日が傾いてきました。
素敵なお庭にさよならを告げ、厭離庵をあとにします。
これで京都の紅葉は終わりました。
これから枯れた、寒い冬がやってきます。
それはとても寂しいのだけれど、そうやって季節は回りまた春が訪れる。
そんな四季の変化から時の移り変わりを感じられる、かけがえのない瞬間を今年も厭離庵で体験しました。
さあ、京都はオフシーズンに入ったのでこの京都御朱印散歩ブログも春までお休み…、と言いたいところですが、冬は冬でまた楽しいことがありますので引き続き書いてゆくつもりです。ALIS御朱印カテゴリが続いていればね。
ということで、これからも京都御朱印散歩にお付き合い下さいませー。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4 & PENTAX 50-200mm F4-5.6
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