なんと、閻魔大王の御朱印です!
この御朱印、有名だけど結構レア。
この閻魔大王の御朱印を書かれるのは、京都・六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)。
これは限定御朱印で、お盆前の4日間しかいただけないという、なかなか珍しいもの。
六道珍皇寺・閻魔大王御朱印。
(草の上ですが、地べたにおいているわけではありません。)
カッコいいですよね!
紺の紙に金の字で、大きく閻魔大王と書かれています。
人気があるのもうなずけます。
でも、なぜ閻魔大王なのでしょう?
これには、夏にふさわしいちょっと怪談っぽい不思議な話があります。
まずは、京都市街図を見てください。
六道珍皇寺は、京都祇園から少し下った場所にあります。
京都の中心である京都御所からは離れており、さらに東に行けば山に当たりますね。
この山のあたりを「鳥辺野(とりべの)」といいます。
その名前が示すように、ここは昔は鳥葬の地でした。
京都で人が亡くなると、この鳥辺野まで運んで鳥葬にしたというわけです。今でもここは大きな墓地になっています。
そして鳥辺野まで亡骸を運ぶ際に通過するのが、六道珍皇寺のある「六道の辻」。
この六道の辻が、この世とあの世との境目なのです。
この世とあの世との境目におられるのは、そう閻魔大王様。
そして、小野篁(おののたかむら)という平安初期の官僚が、夜はこの閻魔大王に遣えていたと言われています。
閻魔大王に遣えているって、そんなの嘘でしょって?
いえいえ、小野篁が閻魔大王のもとへ行くために夜ごとに入っていった井戸が、この六道珍皇寺に残っているんですよ。
これが「小野篁 冥土通いの井戸」。
小野篁が夜な夜なこの井戸に入って、冥土の閻魔様の元へと通っていました。
この井戸は基本的に非公開なのですが、たまたま特別公開されていた際に撮影できました。
間近まで行けたので井戸を覗いてみたのですが、井戸の底はよく見えなかったですね。やっぱり冥界に続いているのでしょう。
さて、そんな閻魔大王様につながる井戸を持つ、六道珍皇寺。
夏のお盆になると、鳥辺野で鳥葬に付されたご先祖様の霊が京都の街なかに帰ってこられます。
そのときにご先祖様は、ここ六道の辻を通るのです。
となれば、ご先祖様の霊をお迎えしないとね。
その行事が「六道まいり」。
お盆が始まる前の8月7日から10日まで行われます。
このときに下受されるのが、閻魔大王の限定御朱印なのです。
閻魔大王以外にも、小野篁の御朱印などもありますよ。
ここが六道珍皇寺。
これから六道まいりをします。
向かい鐘。お精霊さん(おしょうらい・先祖の霊)を迎える鐘です。
中に鐘が備えられていて、綱を引っ張るとガーンと音がします。
その後、本堂にて手を合わせます。
この左横で御朱印を授与いただきます。
水塔婆(みずとうば)という、ご先祖様の名前を書いていただいた板を納めます。
こんな行事が今に残っているんですね。さすが京都です。
ご近所を含め京都の方が多数来られますが、観光客にはあまり知られていない行事でしょう。
六道まいりにてお精霊さんをお迎えの後、お精霊さんはお盆をそれぞれの家で過ごし、お盆の終わりにはあの世へ帰っていかれます。
帰るときにはお見送りしなきゃ。ということで、お見送りの行事がかの有名な五山の送り火なんですね。
8月16日、五山の送り火。
今年も鳥居形を近くから見ました。上の方に鳥居形が見えますね。
そして、嵐山では五山送り火に合わせて灯籠流しが行われます。
毎年、この送り火が消える時間になると気づくことがあります。
ちょうど送り火が消えるに合わせてお精霊さんが去ってゆくように風がふき、急に涼しくなったように感じるんです。
そう、この日を境に京都は秋に入るのです。
京都の伝統的な風習が今も人々に根付いていること、風習と言い伝えが相まって京都の魅力を形作っていることが、少しおわかりいただけたでしょうか。
ひとつの御朱印を通して、こんなふうにいろんなことを知ることができるのは、とても嬉しいことと感じています。
よろしければ他の御朱印記事もご覧くださいね。
CosmosのALIS御朱印記事
Twitter: @cosmoscx