今年の7月からNewsPicksでは、お笑い芸人のオリラジ中田敦彦さん(以下、あっちゃん)による対談番組「NEXT」が始まった。
今や、いやゆる"芸人"の枠を越え、音楽やダンス、YouTubeチャンネル、会社経営、オンラインサロン運営など、活動の枠を広げるあっちゃん。
そんな彼が、毎回ひとつの有名企業をピックアップし、その企業について詳しい専門家たちと対談しながら企業研究をするのが、NewsPicksオリジナル番組「NEXT」。SoftBank、ソニー、ファストリなど。番組最後には、企業研究で学んだことを即興でプレゼンする。この最後のプレゼンがヤバい。対談中に頭フル回転してインプットし、わかりやすいプレゼンを前準備なしでやってしまう。まじでスゴい。
毎回彼のプレゼンには驚くし、あれはそういう曲芸技なんだと、ぼくは認識している。あれはほんまにヤバいんだが、その凄さを支えているであろう"類推力"が垣間見える場面があった。
それは第3回の「ファーストリテイリング」の回だ。
ファーストリテイリングは、あのアパレル企業UNIQLOをもつグループ会社である。
UNIQLOは、過去に、フリース、ヒートテック、ウルトラライトダウンなどといったヒット商品を何度も出てきたが、それらヒットの合間合間で不調の時期があった。あのUNIQLOでも常に絶好調ってわけではなく、ときには売上不振のときもある。そんなときでも、UNIQLOは常に"LIFE WEAR"を掲げ、競合が流行に走る中、人々の暮らしに添い遂げるような商品を世に出してきた。UNIQLOの歴史には「ブレのなさ」が際立っている。
あっちゃんは、そんなUNIQLOの隆盛を、お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の浮き沈みを引き合いにして、説明していた。
オリラジは、武勇伝ネタ、チャラ男キャラ、パーフェクトヒューマンといったブームを何度も起こしてきた。それぞれのブームで浮き上がったあとは必ず沈んだが、またブームを起こし這い上がるということを繰り返したという。そして、あっちゃん曰く、それらブームにも「ブレのなさ」があったと。
どんなブレのなさか?
それぞれのブームの共通点をさぐってみると、相方の藤森慎吾さんが、武勇伝ネタでは「あっちゃん、かっこいい〜」と叫び、チャラ男キャラでは「きみ、かわうぃねー」と言い、パーフェクトヒューマンでは「NAKATAはカンペキだ」と歌っている。
あっちゃん曰く、それらブームで一貫して見られるのは、「藤森慎吾が人を褒める」というものだという。相方が人を褒めるというスタイルをブレずにやっていた、UNIQLOの歴史と同じだ、と。これには完全に拍子抜けした。オモシロイ。
もちろん、数々のブームを起こした後に、それらの中に共通点があることを発見したとはおもうが、まさか、UNIQLOの歴史をオリラジの隆盛で説明するとは。びっくりこいた。
話をUNIQLOに戻すと、UNIQLOはフリースブーム後の不調時には奇抜さに走り失敗した経験もしたが、その後は「シンプルで質が高く、皆の手に届くもの」をブレずに追求してきた。
情報革命によりファッションの民主化が起こり、ライバル企業がファッションに走っている間も、常に服の"本質"を追求してきた。
その結果、今やアパレル業界で売上高世界第2位まで登りつめた。今後は服の本質を追求してしつつ、他業界(物流とか)をまきこんで世界をアップデートしていくことだろう。
おなじく、オリラジも芸能業界の動きが激しいなか、「藤森慎吾が人を褒める」というスタイルはたぶんブレるが、「ひとを楽しませる」ことはブレずに、ひなだん芸人から脱却し、音楽、動画、洋服など多ジャンルで活躍していくだろう。
じぶんで書いておきながら、結局、「藤森慎吾が人を褒める」というスタイルはブレるのかよ、とおもったものの、あっちゃんの類推はオモシロイな〜、と思った次第であった。