今回紹介するのは“身の回りのありとあらゆるものを化学式で書いてみた”です。
この本は酵素や砂糖、ガソリンや石油など身の回りのものを化学式で表わし、物質としての本質に迫る本です。
中でも初めに目に付いたのは、アルコールと酵素の関係の章と窒素と植物の関係の章です。
以下に軽く紹介しようと思います。
アルコールと酵素
アルコールの章では、お酒が体内に入ると起こる反応や酵素と分子がどのように関係しているのかが書かれています。
アルコールの主成分であるエタノールが酵素によって分解され、アセトアルデヒドや酢酸に変わるまでの反応がイメージとともに説明されています。
この際、アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素が作用しますが、これらの酵素の作用を上回る量のお酒を飲むとエタノールアセトアルデヒドが体内に残ってしまい、頭痛や吐き気を引き起こす原因になります。
お酒を飲む時は、自分の酵素の限界を超えて飲むことが多いのでこの理由を知ることで、制御するきっかけになったらありがたいです。
同じ酵素でも人によって酵素を構成する原子の一部が微妙に異なり、作用の程度も変わってくるそうです。
また、お酒に強くなる酵素が入ったサプリなどが販売されていますが、基本的には胃酸で溶かされ、アミノ酸やたんぱく質に変わるので、それほど効果がないそうです。
アルコール代謝能力が上がることは基本的にはなく毎日お酒を飲むと強くなるということは考えにくいと言われています。
ただ例外としてミクロゾームエタノール酸化酵素でも、アセトアルデヒド分解することができますが肝臓に負担がかかり、肝障害を引き起こしやすくなると言われているため、やはり飲み過ぎはいけないようです。
窒素と植物
連作障害が起きた時に、大豆やれんげ草などのマメ科の植物を植えると、土に栄養が戻るという話はよく聞きます。
これはマメ科の植物の根っこに存在する根粒菌の働きによるものです。
根粒菌は周囲の窒素を取り込み、ニトロゲナーゼという酵素を使ってアンモニウムイオンに変換することができます。
このことは窒素固定と言い、根粒菌からもらったアンモニウムイオンを元にして、色々なアミノ酸を作ることができます。
また、マメ科の植物ではない場合は動物の死骸や排泄物などを菌が分解しナトリウムイオンに変換します。
そういった場合にどのような化学式の変換が行なわれているのか、自然界ではどのような循環が行われているのかが書かれているため、土をいじっている時のふとした疑問なども解決することができました。
こんな身近な疑問について、化学式で迫ったのがこの本です。
今後この本について少しずつかいつまんで紹介していこうと思いますので、またしばらくお付き合いください。