第二百十七段
或大福長者の云はく、「人は、万をさしおきて、ひたふるに徳をつくべきなり。貧しくては、生けるかひなし。富めるのみを人とす。
ある大金持ちが言うには、「何をさしおいても、ひたすら金(富)を儲けるべきだ。貧しくては生きる意味がない。金持ちこそ人である。