現在からおよそ4億1700万年前〜3億5400万年前の地球はデボン紀と呼ばれ、それまで生態系の弱小グループだった“魚類”やその仲間たちが一気に海洋生態系の頂点に君臨する時代となりました。
海では強力なアゴをもつダンクレオステウスなどが猛威を奮う一方、地上では最古の樹木といわれるアーケオプテリスら植物の繁栄が見られました。
ケンブリッジ大学の研究者は、そんな時代の様子を伺える地層から、世界最古の“森林化石”を発見したと発表しました。
今回のテーマとしてまとめていきます。
参考記事)
・Earth's Oldest Fossilized Forest Has Been Hiding Its Bizarre Trees For 390 Million Years(2024/03/18)
参考研究)
英ケンブリッジ大学は2月、イングランド南西部に位置する3 億9000万年前の地層から世界最古の森林化石を発見したと発表しました。
これまで最古とされていたニューヨーク州の森林化石よりも400万年古いと考えられています。
発見された木々の化石は“カラモフィトン”として知られ、ヤシの木によく似ており、幹は細くて空洞の構造になっています。
同種の植物は、現在海によって隔たりのあるドイツ、ニューヨーク、中国で化石が発見されています。
これら全く異なる場所に見られる分布は、かつてゴンドワナ超大陸が存在していた頃、ドイツとイギリスと地続きになっていたため植生を共有することはよくあることです。
デボン紀の前に当たるシルル紀とさらにその前のオルドビス紀には海中の性質の変化を含む大きな気候変動によって大量絶滅が起こったとされおり、シルル紀には世界全体の環境が大きく変わったことが分かっています。
当時生きた動物も原始的な植物も同様に、この環境の変化を利用し、独自の進化を行いました。
超大陸に最初に植民した樹木の性質は、今日目にするものとは大きく異なっていたと考えられています。
当初彼らは、根、葉、胞子、種子、そして水や栄養素を送るための管を持たないことから、海岸線や川の近くなど、常に水がある場所で繁殖するほかありませんでした。
この性質により、水辺に沿って木々が根をはることで簡易的な水路が作られたと推測されています。
水を求めて根を深く伸ばしたことは、水が氾濫した後に根の付近に土が堆積し、化石化までに木を保護する役割を担ったと考えられています。
かつて「化石の不毛地帯」とも呼ばれやイングランド南西部にこういった痕跡があるということは、気候が大きく変動したシルル紀以降の地球の謎を解き明かす助けになるかもしれません。
ケンブリッジおよびカーディフ大学の地質学者らは、「数千万年前の地球、地上は非常に豊富な植物の残骸で覆われていただろう」と記しています。
ダンクレオステウスのような巨大な魚やサメの祖先が生息しデボン紀は「魚の時代」と呼ばれることもあります。
しかしカラモフィトンのような植物が地上に生息していたことを考えると、この後地球が木々に生い茂る石炭紀より早く、木の時代が訪れていたのかもしれません。
この研究はJournal of the Geological Societyにて詳細を確認することができます。