この記事では以前概要をまとめた、【要約】行動経済学ってそういうことだったのか!【紹介】の内容をさらに深堀りながら復習していきます。
著書で紹介されている“プロスペクト理論”や“ナッジ”などの専門用語の解説や本自体の要約を中心に、定期的に1テーマずつまとめようと思います。
今回のテーマは“脳のシステム”です。
脳のシステム
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏らの研究から、行動経済学において脳の認知機能はシステム1とシステム2に分けることができると言います。
・自動的
・低労力
・直感的
・感情的
・処理速度高
・意識的
・高労力
・分析的
・推論的
・処理速度低
ここで質問ですが、掛け算の九九を全て答えられますでしょうか?
多くの方は“考えることなく”スラスラ言えると思います。
では723×59をスラスラ答えられるでしょうか?
こうなると実際に紙に書いたりと計算する必要がありますよね?
これがシステム1とシステム2の違いです。
システム1では、経験や慣れをもとに“深く考えることなく、色々な情報を素早く処理できる”という特徴があります。
システム2では、すぐには処理できない情報を“推論や分析をして処理できる”という特徴があります。
日常においても簡単な作業はシステム1で、複雑な作業はシステム2で処理するというプログラムが脳内で出来上がっているわけです。
衝突するシステム1とシステム2
先ほどシステム1とシステム2の合理性を説明しましたが、脳はそこまで合理的ではありません。
ふたつのシステムが干渉してしまい、判断に遅れが生じたり間違いを生んだりもしてしまうのです。
脳の干渉を感じるために、以下のテストをやってみてください。
条件:太い字は「太い」、細い字は「細い」と声に出して言ってください。
太い→細い→細い→太い
細い→太い→太い→細い
太い→細い→太い→細い
細い→太い→細い→太い
“細い”をほそいと言うのはシステム1の機能ですが、“細い”をふといと読むのは注意しなければいけないのでシステム2の機能です。
注意しても、自動的にシステム1が顔を出して間違えてしまう……。
これがシステム1とシステム2の干渉です。
どれだけ意識しても発動する反射的な脳の働きがお分かりいただけたかと思います。
日常のありふれた場面ではシステム1を、判断が必要になったりする場合にはシステム2を使って人間は生活しています。
寝坊した時、すぐに家を出るかご飯を食べるかを瞬時に行動できるのはシステム1の機能です。
経験則で今からでは間に合わないと判断できるのですね。
まとめ
・思考にはふたつのシステムが存在する
・システム1→直感的
・システム2→意識的
・これらのシステムは便利だが干渉することはよくある
・ある特定下だと決まってエラーを起こす→次回へ!
もし寝坊していたときにシステム2が働いていたら、どういった場合なら間に合うかを思考するかもしれませんね。
しかし便利なシステム1ですが、“ある特定の条件下だと決まってエラーを起こす”と著書では述べられています。
次回は人間の判断が曖昧であること説明する“ヒューリティクス”についてまとめていきます。