現在からおよそ5億年前のカンブリア紀。
多様性を獲得した生物達が様々に進化していく時代でもあります。
そんなカンブリアの地層から、状態の良い古代クラゲの化石が見つかったことが話題となっています。
今回はそんな化石の発見についてのお話です。
Science Alertの掲載記事から引用していきます。
参考記事)
・Spectacularly Preserved Jellyfish Found in 500-Million-Year-Old Rock(2023/08/02)
ロイヤルオンタリオ博物館の研究者は、 カナダの地層(バージェス頁岩)から貴重な発見をしたこと報告しました。
発見されたのは、バージェッソメデューサ・ファスミフォルミス(Burgessomedusa phasmiformis)という5億年前に生息していたとされる水生のクラゲの化石です。
95%が水で構成されているクラゲですが、ここまで完璧な化石として発見されたのは非常に貴重です。
この発見は、現在のクラゲのような鐘型の体をもつ大きなクラゲが、5億年より前にはすでに進化していたことが示されています。
バージェッソメデューサも今の海に存在するクラゲのように、海中を自由に泳ぐことができ触手によって大きな獲物を捕獲していただろうと考えられています。
クラゲの近縁種は存在していたことは分かっていましたが、今回の発見によってそれが一つの動物郡であると特定することができました。
化石によって記録に残るものもほとんどは、硬い骨の欠片などで構成されています。
軟組織が化石として記録されるのは珍しいことで、そういった保存状態の良い化石を見つけることができる層はラーガーシュテッテと呼ばれています。
カナダのバージェス頁岩は、多くの軟体動物を保存しているラーガーシュテッテです。
刺胞動物に属するクラゲ類は、非常に柔らかい組織であるため保存されることはとても難しいです。
しかし5億6000年前の化石層からは、岩に固定されながら生息する刺胞動物であるポリプという種類の生物の化石が発見されています。
そういったポリプがクラゲの様に海中を移動する生物へと進化したとも考えられていましたが、それを裏付ける証拠はありませんでした。
今回のバージェッソメデューサの発見は、クラゲのように進化した生物の時間軸を計算する新たな基準点を与えてくれました。
また、同時期に存在していたアノマロカリスやオパビニアなど硬い殻を持つ生物以外にもハルキゲニアなどの体の柔らかい動物もいましたが、それ以上に柔らかい動物がさらにいた可能性もあり、これまで考えられていた以上に生物の多様性があるとも考えられます。
当時、一体どのような生物が地球を支配していたのでしょうか……。
今の私達ではその一端を石の中の記録から予想するしかありませんが、技術の進歩によって様々な生態系が明らかになってくれればと密かに期待しています。
タイムマシーンとは言わないまでも、タイムテレビくらいは実現してくれたら嬉しいです。(他力本願)