私たちが生きる地球はかつて、火球の如く燃え盛る地獄のような星であったり、地表が全て凍った状態であったりと、あらゆる姿を経験してきました。
恒星(太陽)に近い惑星は、密度が高く個体の大地をもつ“地球型惑星(水星、金星、火星など)”が多くなります。
一方、恒星から遠くなると、密度が低くガスが主な成分となる“木星型惑星(土星、天王星、海王星など)”が多くなります。
太陽ができたとされる46億前、放出される太陽光は今よりも30%ほど低かったと考えられ、その影響から、かつての金星には液体の水が存在し、生命が育まれていた可能性もあったとも言われています。
地球も、太陽の活動の活発化によって、おおよそ20億年後には金星のような星になるとされています。
そのような惑星の変化は、太陽系外の至る所で行われています。
今回はそんな太陽系外惑星HD-207496bについての話しです。
2023年3月13日に掲載されたScience Alertの記事からまとめていきます。
参考記事)
This Mysterious Planet Could Be Transforming Into a Water World
ポルトガルのポルト大学を筆頭とする研究チームは、地球からおよそ138光年の距離にある太陽系外惑星が、地球型惑星に近い状態であることを発見しました。。
HD-207496bと名付けられたこの惑星は、地球の質量の約6.1倍、半径は約2.25倍とされ、ガス状の大気か地球規模の海洋、またはその両方が存在してる可能性があることが明らかになりました。
年齢が5.2±2.6億年という比較的若い衛星(HD-207496)の周りを公転しており、HD-207496bがガスの層を宇宙に放出している過程の途中であると見られています。
今回紹介しているようなサイズの惑星は、サブネプチューンと呼ばれ、岩石質のコアを氷のマントルや水素・ヘリウムのガスが取り囲む形が見られます。
こういった惑星は、地表の物質や大気が散逸することによって、岩石質の地球型惑星(スーパーアース)に変化することがあります。
大気などの散逸は、恒星から発せられるX線や紫外線が、惑星の上層大気を加熱させたり、惑星誕生の際の余熱などによってガス層が膨張されたりすることによって引き起こされると考えられています。
しかし、その説が実際にどれだけ影響をしているのかはっきりとしたことは分かっていません。
HD-207496bは、スーパーアースになる過程にあると考えられ、地球型惑星が生まれるメカニズムを解明する大きな手掛かりになると考えられています。
HARPSによる観測から予測されているHD-207496bの現在の状態は密度が3.27g/cm³となっており、地球の5.51g/cm³と比べてスカスカです。
これは、まだこの惑星の組成が完全な岩石ではないことを意味しています。
そこで研究者らはモデリングを行い、この惑星がどういう状態なのかを調べました。
その結果、惑星にはかなりの量の水やガスが含まれていると予想されています。
蒸発を予測したモデリングでは、太陽系外惑星が水素とヘリウムのガスに富んだ大気を持っている場合、その状態は1時的なものであるとされています。
5億2000年万年歳のこの惑星も、大気が既になくなっている可能性があり、海がむき出しの状態とも考えられています。
40億年前の火星が、地球と同様に、湖や川、海を形成するほどの水が豊富にあったことが分かっていますが、どのようなプロセスでそれらが火星表面から消えていったのかは確かなことは明らかになっていません。
HD-207496bは、そんな地球と近い関係にある惑星の謎を解き明かす手がかりになることにも期待が持たれています。