今回紹介するのは、殺人を犯したはぐれ者が社会復帰を目指そうとする映画「すばらしき世界」です。
社会不適合者の厚生に焦点を当てた内容であり、13年の刑務所暮らしや元暴力団員という肩書からなかなか馴染めない様子がもどかしくもどこか応援したくなるような内容です。
それまで社会と接点を持てなかった彼が、息苦しい現代社会をどのように生きようとするのか……。
そんな彼の行動や心理を楽しむことができます。
それではあらすじへ……。
13年の刑期を終え、旭川刑務所から出所した三上(みかみ)。
そのまっすぐ過ぎる正確から刑務所内でもトラブルメーカーだったが、社会復帰にも前向きで、カタギとして現代社会を生き抜こうと決意する。
身元引受人となった弁護士とその妻に迎えられた彼は、刑務所では感じることができなかった人の暖かみを感じていた。
そこに、社会復帰を目指す前科者のドキュメンタリー番組作成という名目で、三上にスポットライトが当たる。
受刑者の経歴に目を通したディレクターは、その壮絶な過去に怖気づきながらも、下町のアパートで新生活をスタートさせた三上への取材を開始する。
一度社会から外れた彼は、13年の時を経た現代社会でどのように生きるのか……。
映画の冒頭でも分かるように、彼を暖かく迎え入れた弁護士家族がいるのに対し、社会不適合者には厳しい現実も待ち受けています。
目まぐるしく変わる現代社会は、私たちですら時折生きる目的を見失ってしまうことがあります。
まるでタイムスリップしてきたかのような三上にとっては、その厳しさはさらに深刻に感じるでしょう。
今ではヤクザのような暴力での解決は意味をなさず、むしろ不利になることがほとんどです。
そういう生き方しかしてこなかった人間がこの現代社会にどのように向き合うのか……。
そんな無機質で暖かい社会を覗く映画です。