【 haccaノベルとは 】
『クリエイター向けサービス「note」内に掲載された小説を、ふたりのキュレーターが厳選し、掲載する。
hacca(ハッカ)ノベルは、お洒落な世界観の、わくわくして〖きゅん〗とする少女漫画みたいな小説のレーベルサイト。
クリエイター向けサービス「note」内に掲載された小説を、ふたりのキュレーターで厳選し、掲載しています。
アクセスすればその日の気分で、好きな長さの物語を探すことができます。
仕事帰りの部屋でアルコールを片手に、あるいは憂鬱な通勤の気分転換にお楽しみください。』
haccanovel.com Twitter @haccanovel
前回の記事で読者が読みたいカテゴリーにマッチングさせるのに強いプラットフォームの在り方なんかを考えていたり、いなかったりしているところ……Twitterで下のツイートがたまたま目に入りました。
【haccaノベルキュレーター】……なかなか聞き慣れない言葉……けどなんかいい感じ。
ノベルキュレーターってなんだろう……と思って、唐突に(もはや突撃)、丹宗あやさんに取材の申し込みをさせていただきました。
(多分、丹宗さんもびっくりしたと思います笑)
キュレーター(英語: curator)とは、博物館(美術館含む)、図書館、公文書館のような資料蓄積型文化施設において、施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職、管理職を指す。《Wikipediaより》
丹宗あや
2020年3月、作家・デザイナーの石川葉と共にweb小説のキュレーションサイト「haccaノベル」を立ち上げ、キュレーターとしてのキャリアをスタート。
自身もWeb投稿小説サイト(note、エブリスタ、LINEノベル)にて活動中。
[主な作品]
・エブリスタ小説大賞2019 光文社キャラクター文庫大賞 優秀作品『かがゼミナールの学習記録』
(琴廻) ノベルキュレーターという言葉は石川さんが発案されたんですか?
(丹宗) そこはどちらともつかない感じです。
打ち合わせをしたときにhaccaノベルをキュレーションサイトとして運営しようという話になったんです。
私達が自信をもっておすすめできる作品を集めたサイトにしようと。
それで、始めるときに私が自分の肩書きをキュレーターとしました。
葉さんはデザイナーだったので、じゃあ私はなんだ?となって…笑
査読はふたりで分担していますが、分量的に私の方が多く、作品のバランスを見て掲載時期を提案もしているので、名前に役割が後から追いついた感じです。
(琴廻) 先日haccaノベルで紹介されている三作品読ませて頂きました。いろいろな『きゅん』の形があるなぁと……。特にターゲットとする年齢層やカテゴリー、例えば文芸、ライトノベルなどの作風には囚われていないという解釈で良いんでしょうか?
(丹宗) 私は〖きゅん〗て、古語でいう「あはれ」や「をかし」みたいなものだと思っているので、そこは幅広くと思っています。
ターゲット年齢層は10代以上の女性として、あまり狭めていません。
文章形態はこだわらないのですが、小説としてよいもの、というのが私達の根底にあるので文芸寄り、ライト文芸くらいまでが必然的に多くなってくるのではと思います。
(琴廻) 丹宗さんや石川さんというフィルターを通して見えてくるカテゴリーなんですね。
今はnoteというプラットフォームに絞って投稿作品をキュレーションして掲載していますが、今後、他サイトの作品を掲載する予定はありますか?
(丹宗) 基本的に掲載を依頼する作家さんの作品はほぼすべて読んでいます。そういった中で気になる方の作品を他サイトへ読みに行くことはあります。が、noteの小説カテゴリを盛り上げたい気持ちもあるので、基本的にはnoteメインでしばらくやると思います。
(琴廻) 個人的にはもっと大きな広がりを見せていってくれると嬉しいです。
note内でhaccaノベルに掲載して欲しいという応募作品はどのくらいあるんでしょうか?
(丹宗) 現状、#haccaノベル のタグがついた作品投稿は100件を越えていますが、趣旨に賛同してくれる人はタグをつけてね、という形なので応募というと語弊があるかもしれません。
(琴廻) noteだけでもかなりのタグ付けの数……査読も大変そうです。
今Web上でいろいろなプラットフォーム…なろうやpixiv、カクヨム、エブリスタ、アルファポリス……いろいろあって、読み専さんの獲得が何処も熾烈だと思うんですが、haccaノベルはどちらかというと書き専さんへのアプローチ色が強いように思えますが?
(丹宗) 現状web小説の読み専さんの獲得なら、個人的にはなろうさんのひとり勝ちのように思っています。
haccaノベルはレーベルサイト名でもありますが、「少女漫画みたいな」小説のジャンル名でもあります。
これは既にたくさん存在しているが、カテゴリ分けが曖昧になりがちな小説群に名前をつける目的からです。
たとえば「イヤミス」という言葉ができてから認知されたジャンル名をイメージしていただくとわかりやすいかと。
(琴廻) haccaノベルというジャンル。そのイメージを印象づけていく活動がノベルキュレーターのお仕事なのかな、と思いました。
(丹宗) 読み手としては①このジャンルが好きな書き手(≒読み手)、②「少女漫画みたいな」ドラマや映画が好きな層、を想定し、それぞれニーズの掘り起こしを図っています。
投稿サイトではないというのもありますが、既存のそれらとアプローチの仕方、ターゲット層などはあまり重ならないと思っています。
書き手のニーズから発想する、という部分に限ればステキブンゲイさんに近いかもしれません。
『イベントとして、掲載作品を募るコンテストを開きたいと思っています。
〜(略)〜
自分の作品に光が当たること、というのが、小説をSNSに掲載する書き手の大きな目的のひとつだと思うからです。
ひとまずはサイトの運営を安定させてからとなりますが、一応マネタイズも視野に入れていて、アンソロジー雑誌の発行や、同人市場における新規格の提案なども考えています。
だけど最初は、始まりは、好きなものを好きな人同士が集まってワイワイ楽しんで、そこに更に誰かが集まってくるような、そんな広がり方をしていくことができたらな、と思っています。』
①毎月8日と20日をハッカの日とし、最新作をリリースしていますので是非ご覧ください。
②noteにジャンルタグをつけて投稿された作品は読ませていただきますので、趣旨に賛同いただけましたら是非ご投稿ください。
※詳細は下記に
丹宗あや〖haccaノベルキュレーター〗 @tansoaya79
《編集後記》
小説を選ぶ時って、私は新しいレストランやカフェを見つけるのに似ていると思っています。どんな雰囲気なのかな?とか、料理の味や見た目、スタッフや店主はどんな人なのかな?……とか想像して、期待を膨らませながらドアを開ける。あ、当たり!って感じて、あのお店良かったよ!って、誰かに伝えたいと……
また、一冊の本に限らず、レーベルもまた同じように例えられそう。カフェ、トラットリア、リストランテ……カテゴライズされたジャンルはフレンチ?イタリアン?それともスパニッシュ?
途方もないWeb小説の中から、お店──つまりレーベルが「オススメするメニューはこちらです」と紹介してくれるコンシュルジュ──それがノベルキュレーターなのではないのかな……と。
前回の記事でも触れたように、自分の好みの作品に巡り会いたいと思いながらも、なかなか巡り会えないと感じている方って多い気がします。Web小説のカテゴリーって結構曖昧。投稿小説は特に作者の主観が入るのでなおさら……
今読みたい口になっているのはこの作品。そんな要望を叶えるノベルキュレーターの需要は確かにありそう。
レーベルと一言で言っても多種多様、今やかなりの数があリます。既存のカテゴリーをより深く、具体的かつ個性的に特出したカラーを打ち出そうという試みに興味を引かれました。
個人的な感想では、きっかけやインスピや片鱗が、自発的に起こっているムーブメントの一つ、のような気がしています。とにかくやってみよう。自身の好きを誰かと共有してみよう。もしかしたら、大きなコミュニティに広がりを見せるかもしれない。そんな可能性の形を提示して頂いている気がしますし、これからは、そんな個性あるブロックチェーンがスタンダードなWeb小説サイトに変っていくのかもしれません。
(今回、本当に急な思いつきで、丹宗さんや石川さんにお時間を割いてくださり、また取材に御協力いただきながら大変勉強になる話を伺う事が出来ました、ありがとうございました。今後のhaccaノベルの活躍を期待しております)
前回の記事はこちら