<前回までのおさらい>
「再生可能エネルギー(再エネ)の余った電力でマイニング」
これを理解するには電力自由化と再エネ大量導入を理解せねば。誰でも電気事業を始められる時代になったのは分かったけど、再エネはなぜ導入されたのか?
前回は、311後に電力市場の自由化が進んだお話をしました。
もう一つ、震災を契機に進んだことがあります。
再エネ導入です。
2012年、固定価格買取制度(通称FIT)導入により、世界に類を見ない高値で再エネが買い取ってもらえることになりました。しかも20年も固定価格で!(家庭用は10年です)
考えてみてください。
高値で、20年も、固定価格で買取りしてくれる商売ですよ?ぼろもうけ以外の何物でもありませんよね?そんな暴風クラスの追い風を受けて再エネ、その中でも初期投資が少ない太陽光発電は大量導入されることになりました。
そう、、、
最も不安定で、
昼間しか発電しない太陽光が、です。
電源シェアが低いうちは気にならない変動だったのが、今や無視できない量となってしまいました。具体的な数字を見てみましょう。
現在、太陽光発電は電源構成の約8.5%を占めています。
と書くと、そんなに多くないように見えます。が、厄介なのは全国に満遍なく太陽光発電所があるわけではないという点。そりゃそうです。雪が降る北海道や東北より、暖かくて日照条件のよい山陽、九州エリアの方が良さそうですよね?
実際に、九州地方では消費電力量比で約2倍の太陽光が入っています。
その影響たるや、昼間に電力が余りに余るので電力網に流せなくなり出力抑制の指令がでるほど。(今は九州以外のエリアでも再エネ導入が進み指令が出ます)
当然、卸市場であるJEPX価格も連動します。
例えば5月6日、九州は晴れ。
お日様がさんさんと降り注ぐお昼間は、0.01円/kWh(最低価格)の値段がついています。(24h表記)
すごいグラフですよね。
節電してほしい時間もあれば、タダ同然でいいから使ってほしい時間もある。
それが今の電力市場なのです。
なんだか長くなったのでさくっとまとめに入りますね。
私が疲れただけとも言いますが。
余剰電力を用いてマイニングは、
十分あり得ます。
自由化+再エネ大量導入により、アクセス可能な「余剰電力」は確かに存在している。ただ、24時間365日アクセス可能なわけではないのでスポット的に用いることになる。そうすると、他の時間帯の電力契約も必要となり、それらの価格を考慮すると大して安くならない、、、という可能性は十分に考えられる。
つまり取れるオプションは、
1.余剰電力が出た時だけマイニング
2.蓄電池、EVによるタイムシフト
となる。
テスラの住宅用太陽光発電用蓄電池やインバーターにGPUを組み込んでマイニング、という構想というか妄想がでていましたが、これら1,2を満たしますよね?
あとは、当該地域の電力市場構造、蓄電池の性能(ロス)、GPUの性能、エンドユーザーの理解力、、、などがネックになりそうですが、実現可能な話ではあるのです。
日本では、FIT制度で導入された太陽光発電が10年/20年の買取期間を過ぎて「卒FIT電源」になろうとしています。こういった電源は、自家消費用になるか、買い取ってくれる電力会社と新たに契約するか、になりますが新たな契約はあまり条件の良いものではありません。
マイニング報酬/消費電力が10円/kWhあたりまでいければ、卒FIT電源をかっさらうことはできるはず。
やる気が出ましたか?
やる時は呼んでくださいね?
企画書をぶった切るくらいはしますからね(笑)
以上、最後の数行で終わる話を長々としてしまいましたが、お付き合いありがとうございました!
Mari S