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イランvsサウジ、翻弄される中東

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  • MALIS
  • 2018/07/27 22:00

昨日から始まった"エネルギー×ブロックチェーンシリーズ"と見せかけた"中東シリーズ"、前回は中東における仮想通貨の位置づけについて見てみました。


<おさらい>

イラン、仮想通貨発行検討中

・どうもアメリカの経済制裁に備えてるらしい

・その前に仮想通貨ってハラル?多分ね。

ハラルとは、イスラム教的にOKってこと。仮想通貨はどうやらイスラム圏で認められつつある。

前回記事:そのコイン、ハラルなの?イラン×仮想通貨



今回は、"そういやイランってどんな国だっけ?"を見ていきましょう。

ここを理解すると、なぜイランが仮想通貨発行しようとしているか、つまり、なぜアメリカが経済制裁を下そうとしているか、がわかりますよ。

ニュースを見るのも楽しくなるはず。

それでは始めます!


1. イランってどんなとこ?


まずはもう一度場所の確認から。

Content image

前回も書きましたが、横のイラクと間違えないように!

名前似ているけど全然違う国です。下手に間違えるとぶっ殺されるので気を付けてくださいね。


主要産業はもちろん石油。

さて、どのくらい埋まってるんでしょうか?

CIAのデータによると、、

Content image

1位のベネズエラの真偽のほどはおいといて、世界4位の埋蔵量を誇ります。

実際、輸出の60%は石油です。

ベネズエラのように95%が石油ということはないですが、高い数値ですね。


ただ、ベネズエラと大きく違うのは、

上流である石油採掘から、石油製品の加工、出荷まで全て自分の国でできる点

全部が国有企業なので非効率だったり、汚職なんかも多いんですが、まぁベネズエラより世界と戦えそうなのは伝わると思います。


さらに、石油以外にも、IT、空港、鉄道、サービス業、といった他の産業の発達にも力を入れつつあります。

その産業の中には核技術も。

この点は次回触れるので覚えておいてください。


2. イランVSサウジ

イランを語るうえで外せないのがサウジアラビアとの関係。

イランの仮想通貨発行に何の関係が?と思われるかもしれませんが、めちゃくちゃ関係あります。

というわけで昨日、こんなアンケートを取らせていただきました。


犬猿の仲アピール不足でしょうか?
"全く知らん" が半数以上ですね。

(そして3%のかなり語れるに恐怖する私)

全く知らんて方は、とにかくこの2国は仲悪い、と覚えてください。


では、どうして仲が悪くなったのでしょう?

よく聞くのは宗教抗争ですね。

事の始まりは6世紀ごろでしょうか。
預言者ムハンマドが生をうけ、その後イスラム国家を樹立したところから始まります。ムハンマドは名門一族出身の商人だったのですが、、、



、、、なんてところから始めると多分一か月は終わらないので、さくっと飛ばしましょう。

まず、サウジアラビアもイラクもイスラム教の国ですよね。ただし、ややこしいことにイスラム教には大きく2つの宗派があるんです。

スンニ派シーア派です。

無茶苦茶簡単にいうと、イスラム教指導者の跡継ぎ問題でもめて、

・シーア派
 ムハンマドの子孫が指導者になるべきだ!

・スンニ派
 子孫じゃなくても話し合って決めりゃいい!

で対立したんですねー。


イランはシーア派、サウジアラビアはスンニ派が多い国です。


さて、、跡継ぎ問題でもめたのが7世紀くらいとして、いくら信心深いとはいえそんな長く喧嘩できるんだろうか?と感じませんか?


その感覚、正しいです。


いくらイスラム教徒とはいえ、宗派の違いだけで戦争し続けられるほど暇ではありません。宗教はもちろん絡んではいますが、実際のところは政治的、経済的な中東覇権争いだと言われています。


3. 地獄の代理戦争

では、いつからこんな状態になったのでしょうか?

火種は以前からあったのですが、決定的だったのはイラン革命でしょう。


1979年、イランでシーア派主導の民主化革命がおこりました。

Content image
By nakedbana2.files.wordpress.com 

これは単なる民主化だけではなく、長くイギリス、そして実質アメリカに植民地化されていたイラン、そして中東地域の解放宣言でした。

つまりイランは、「よーし民主化の波を他の国にも広げるぞー!」的なノリになっていたわけです。これからは俺たちイスラムの時代だ!


焦ったのは他でもないサウジアラビア。

というのも、サウジアラビアにシーア派は10%しかいないのですが、少数派ってことで虐げられていました。もし、彼らがイランの民主化を見て「おいおいサウジの王族のさばってんなぁ!」なんて勢いづいちゃったらどうしよう....

実際勢いづいていたわけですが。

飛び火してもらっちゃ困るってことで、他の国のスンニ派に支援をし始めます。


とはいえ、その後もイランと直接対決には至らず、周辺の他の国での対立を支援してイランに間接的に攻撃をすることに。

イランも同じです。

他の国のスンニ派、またはシーア派が優勢になるよう武器を渡したり資金を提供していったのです。細かいことを言うと色々あるんですが、ざっくり理解するとこんな感じです。


「なんて卑怯な、直接対決すればいいのに!」

と思うところですが、中東の二大国家が戦ったら地域経済は壊滅です。

地図見てもわかるけど、世界で一番原油が運ばれるルート、ホルムズ海峡が完全封鎖されちゃいますね。石油施設もたくさんあるので戦争で爆撃されて生産不可能になっちゃうかも。

Content image

こんなの、全世界が大混乱。


というわけで、他の国の争いをバックアップして間接的に攻撃しあうスタイルはずーーっと続いていくわけです。


イラン・イラク戦争から始まり、少し落ち着いていた時期もありましたが、2011年以降はシリアの内戦、レバノン内戦、そして昨年のカタール危機にもサウジvsイランの構図は見られます。

写真はシリア。アラブの春で民主化を目指したこの国は、その後の内戦で完全に破壊されています。もともと教育レベルも高く、観光資源もたくさんある美しい国だったにも関わらず。


こういう争いを代理戦争といいます。

嫌な言葉ですよね、誰かの代わりに戦争をして市民が殺されるなんて。


と、ここまで読んで、「あれ?アメリカ経済制裁の話どこいった?仮想通貨の話どこいった?」と思ったあなた、鋭い。

実はまだ役者はそろっていません。


最初のきっかけとなったイランの民主化革命、サウジアラビアと同じく大反対した大国がいます。




アメリカです。



と、アメリカ登場をもって今週はおしまい!

次回もお楽しみにー!


MALIS

次の記事:アメリカの介入は中東に何をもたらしたか?


公開日:2018/07/27
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エネルギー政策専門のコンサルタントです。ニューヨークにいることが多いのでこちらの情報発信が多めになる予定。Twitter: @mari_saita

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