そのコイン、ハラルなの？イラン×仮想通貨

MALIS
2018/07/26 23:03

皆さんこんにちは、今日はエネルギー資源の輸送×ブロックチェーンについて書こうかと思っていたのですが、変えました。

今回も石油×仮想通貨です。

というのもこのニュース↓

イランが国として仮想通貨を発行計画中！です。

実は前からイランは「いくで！やるで！」とは言っていたのですが、中央銀行も一緒に頑張ってまーす、と今回レポートが入り本気度が随分上がってきました。

というわけで今回は、イランを中心として

・中東における仮想通貨の位置づけ

・イランのおかれた状況

・イランの仮想通貨の発行目的

を詳しく見ていきましょう！

今回もシリーズものですが、最後までお付き合いくださいね！

1. そもそもの目的は？

さて、イランといえば産油国ですよね。

と同時にアメリカと喧嘩していたり、なんだかややこしそうなイメージも。

なぜ国家が仮想通貨発行を検討しているのでしょうか？

ベネズエラの仮想通貨ペトロと同じように、アメリカの経済制裁を逃れたいのでしょうか？（関連記事はこちら）

はい、だいたい同じような目的です。

トランプ大統領が「過去最高レベルの制裁を課す！」と息巻いており、8月から順に、USドルによる売買制限、石油の購入制限、石油プロジェクトへの投資制限が予定されています。

石油の国、大ピンチです。

（日本もイランから石油輸入しているのでえらい迷惑です。制裁の背景はまた詳しく書きますね。）

ここまで言うとベネズエラと一緒に見えますが、イランそして中東は仮想通貨の位置づけも制裁に至った背景もベネズエラとは一味違う複雑さがあります。

ではまず、中東における仮想通貨の位置づけを見ていきましょう！

２. ハラルとは何ぞや？

みなさん、"ハラル"ってご存知ですか？

アラビア語で"許可"って意味なんですが、ようはイスラム教の教えにより許可されることを指します。

分かりやすいところだと、食事でしょうか。例えば、敬虔なイスラム教徒は豚肉を食べません、お酒も飲みません、あと牛をミルクで調理するとアウト（だったはず）、、、など色々と掟があるのです。

こういった掟をクリアすると「この食事はハラルだ」と言えるんですね。

ちなみにアメリカはイスラム教徒も多いので、街中にハラルフードのお店や屋台がよくあります。

日本でも、お菓子やラーメンがハラル認証を取得！中東で売れるぞー！とかニュースが出ていたりするので、聞いたことある方もいるかも。東京にもハラル認証されたレストランが増えてきているのだとか。

で、なんでこれが仮想通貨に関係あるかというと？

3. 金融もハラル判定対象!?

実はこの"ハラル"というのは食事だけでなく生活全般に影響します。

というのも、中東の国々では政治と宗教がばっちりくっついている（政教分離されていない）ので、憲法レベルまで宗教的価値観に基づいているんです。

当然ビジネスも対象。

つまり金融業も対象。

金融にとってやっかいな点は主に3つ

・賭け事がダメ

・不労所得がダメ

・不確実すぎる取引がダメ

具体的には、例えば利子は不労所得なので認められません。あと、先物取引も賭け事(!!)とみなされるので認められません。

じゃあどうやって銀行とか営業するの？というと、イスラム金融という仕組みを使って私たちが使っている銀行と同じような仕組みを実現しています。

詳しく知りたい方は三菱UFJ信託が出している「イスラム金融の現状について」がわかりやすいので読んでみてね。

で、、もう予想できると思いますが、

仮想通貨もハラルと認められないとダメ

なんですね。まさかの宗教ブロックです。

3. 仮想通貨はハラルか？

さて、ここで疑問です。

仮想通貨って、賭け事的で不労所得で不確実じゃなかったっけ？

絶望的ですね。

が、しかし！

イスラム圏の国々は仮想通貨に対して全否定でもないんです。

意外なことに、既存の銀行システムよりもビットコインの方がハラルかもしれんなんて意見もあるようです。何故でしょうか？

コインテレグラフに興味深い記事があります。

"Unlike conventional bank networks which use private ledgers where there's no guarantee that the originator actually owns the underlying assets, Bitcoin guarantees with mathematical certainty that the originator of the transfer owns the underlying assets."

（意訳）"従来の銀行は、プライベートな台帳を使っていて、お金を預けた人が本当にそのお金を所有しているかどうかの保証がない（手元にない）。でもBitcoinはお金を（ウォレットに）移した人がその資産を所有していることを数学的かつ確実に保証している。"

そ、そんな解釈になるのか、、、

また、実態を伴わない取引は認められないので何等か資産としての裏付けが必要なのですが、じゃあゴールドで裏付ければOK？とドバイの会社が仮想通貨ワングラムを発行しています。

日本では仮想通貨は通貨なのか？が焦点ですが、中東では仮想通貨は資産で裏付けあるのか？が焦点なんですよね。

というわけで、まだまだ完全ではないのですが、イスラム教の教えという意味では工夫すれば許容できる範囲ではありそうです。

イランが今回の計画を発表しているのは、このあたりの解釈もあるのでしょう。

と、今日はここまで！

エネルギーシリーズのはずが、今回は中東シリーズ風になってしまいました。

次回は "イランvsサウジアラビア" なのでこれまた中東シリーズですが、石油も絡んできますよー。あ、仮想通貨もね。

お楽しみに！

MALIS

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