こんにちは、MALISことマリ、独立記念日祭りの反動で若干体が鈍い、です。
さてさて!
皆さん、"国連WFPが取り組む難民支援"に"ブロックチェーン"が用いられているのをご存知ですか?ブロックチェーンに関心のある方なら一度は聞いたことがあるかも?
難民支援なんて日本にいると遠い話に聞こえる?
いえいえ、このプロジェクトが試みていることは、私たちの将来にも大きな示唆があります。
国連WFPって何ですか?って方も、ニュースでみたことあるよって方も、今日はこのブロックチェーン活用の取組みを掘り下げてみましょう!
国際連合、略して国連。
世界の平和維持、安全保障から経済、人権問題、文化保護、、、と様々な分野での国際協力を実現する組織です。
本部はニューヨークにあったりします。
あれ、万国旗がない、、、まぁ気にせず続けましょう。
この国連の中には様々な機関があるのですが、その中の一つに国連WFP(World Food Programme)という組織があります。国連WFPは食糧問題をあつかっていて、"世界から飢餓をなくす"というミッションで活動しています。
世界には栄養失調状態の人々が約8億人はいるといわれていることから、いかにWFPが大きなミッションを掲げているかがわかると思います。
そのWFPが昨年5月から、ヨルダンのアズラック難民キャンプでブロックチェーンを活用した難民支援を開始しました。(ジャパン・ソサエティの講演でも話がでていましたね)
この難民キャンプには、シリアからの難民が多く駐留しています。
しかし、彼らの中には国民IDもなければパスポート、免許証、健康保険証もないという”何者でもない”状態の方々が多く存在します。
そんな彼らが、安全かつ確実に地元の食料品店で買い物ができるように作られたのが今回のプロジェクト。具体的な内容は、
(1) 国連WFPが難民へバウチャーを発行
(2) 難民がバウチャーをもって食料品店に行く
(3) 食料品店は網膜スキャナーで難民を認証
(4) この生体認証技術とブロックチェーンが統合されており、難民は無事支払いをすることができる
というもの。これならIDが必要ないですよね。
一方、WFPにとっては、銀行を介さず管理できるため毎月15万ドルを節約できるメリットがあるそう。利用されているのはBuilding Blocksと呼ばれるイーサリアムベースのプライベートチェーン。
本プログラムは成功をおさめ、他のエリアにも拡大されています。
難民がもとの生活に戻っていくためには、様々な機関と連携した支援が必要になります。その時ネックになるのがIDの存在。WFPが"中央集権型の機関に頼らずIDを持たない人たちを支援できる仕組み"を持っておきたい、と考えるのは当然のことなのでしょう。
実は、世界にはIDを持たない人々が11億人いるといわれています。
この問題については、国連ID2020という取り組みがありブロックチェーンの導入が積極的に進められています。興味のある方はこちらをどうぞ↓
更に私が思うのは、
これは難民だけの問題ではない。
私たちを証明する"ID"というものが、いかに中央集権に依存し脆いものなのか、いかに私たちの手元に管理する権限がないものなのか。
私はこのニュースを追っていて、そんな事実を突きつけてられているような気になりました。ブロックチェーンを使うことで、国家ではなく個人が自分のIDを管理する、そんな時代が来るのかもしれません。
来週、国連のブロックチェーンへの取組みを聞く機会があります↓
"Blockchain for transformation towards sustainable and resilient Societies"
今回ご紹介したプロジェクトについても話があると思うので、またALISでも報告したいなと思っています。
ということで、今日は国連WFPの取り組みからのID話でした!
余談ですが、以前システム開発に携わっていた時に、顧客を特定するという行為がいかに難しいものか、と痛感したことがあります。
その時システムの仕様書を読みながら、様々な組織で発行されたIDがないと私たちの存在を証明するものは何もないという事実と、それまでその事実に気が付かなかったことにうっすらと恐怖を覚えたものでした。
今日お話したことは、以前ご紹介したMITの取り組みも共通する点があるかなとも思います。
私、を証明するものは何なのか?
今一度考えてみるのも面白いかもしれません。
MALIS
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