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米、ブロックチェーンを含む技術研究に5億円助成

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  • MALIS
  • 2019/01/09 23:44

こんにちは、MALISです。

今日もニューヨークから情報をお届けしています。

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写真はGEMINIに染まる地下鉄。

(カッコいいかなと思い言ってみましたが、トピックはワシントンDCです...)


さて、今日のピックアップはこちら。

"Energy Department Announces Nearly $5 Million in Fossil Energy Research Funding for Universities"

米国エネルギー省が化石燃料発電の技術研究に約5億円の助成を決定したというもの。


トランプ政権になって、
「地球温暖化はフェイクニュース!石炭最高!」
みたいな戯言が続いていますが、今回のニュースも化石燃料限定。

背景はともかく、内容を見てみましょう!



1. お金は化石エネルギー局から

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まず、助成金の出どころを見てみましょう!

今回のアナウンスは、エネルギー省の中の化石エネルギー局から出ています。化石エネルギーとは、化石燃料由来のエネルギーのことで、石炭火力、石油火力、ガス火力などがあてはまりますね。

次に、この助成は、「University Training and Research initiative」と呼ばれるイニシアティブの一部として提供される予定とのこと。このイニシアティブはなんぞや??というと、

・化石燃料/エネルギーにおける次世代の科学技術プロフェッショナル育成

・石炭ベースの化石エネルギーに注目した革新的かつ基礎的研究の推進

・廉価な国産エネルギーの増加と、電力網の信頼を向上させる技術の開発

を目的としており、主に大学機関に提供されています。


再生可能エネルギー至上主義者が聞いたら怒り狂いそうですが、現状アメリカの電力は6割以上が化石燃料由来。理にかなっているとはいえるのです。

多分ね。


2. ブロックチェーンの分野は?

では、具体的にどんなプロジェクトが立ち上がり、どこにブロックチェーンが使われるのでしょうか?

発表された内容を、とても簡単にいうと、

1. 石炭火力から発生する灰に含まれる、ヒ素/セレンの濃度分析方法

2. 火力発電用のサイバーセキュリティセンサーおよびネットワークの研究

3. 高度コンピューティングを応用した、石炭火力の課題および緩和策の探求

4. 石炭火力の廃水再利用

の4つが挙げられています。

この中でブロックチェーンが明記されているのは2つ目の、「火力発電用のサイバーセキュリティセンサーおよびネットワークの研究」になります。


Projects selected under this AOI will explore emerging technologies (such as blockchain and decentralized, peer-to-peer internet protocols) that secure process signal data and other information flows within distributed sensor networks for fossil-based power generation systems.


おお、やっと出てきた!

発電所とセンサー??と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、種類によっては最新発電所は

「センサーおばけ」

と揶揄されるほど、センサーだらけになりつつあります。これらのセンサー情報をもとに発電を制御しているわけですから、サイバー攻撃をうけてしまうと発電所がストップ、最悪の場合は破壊されてしまう可能性もあるのです。

なんだかIOTAが大活躍しそうな分野ですね。


3. サイバーセキュリティへの危機感

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そもそも、米国エネルギー省は以前からサイバーセキュリティにおけるブロックチェーンの活用に注目していました。

電力関連施設へのサイバー攻撃は年々増加しています。

特にアメリカでは原子力発電所を狙うサイバーアタックが多発しており(今のところ大きな被害は出ていませんが)、エネルギー省は各電力会社や研究機関にサイバーセキュリティ向上に向けた研究を指示しており、クローズドな会合が繰り返し実施されています。


その研究対象に、ブロックチェーンが含まれているのです。


今回はアメリカの助成金の話ですが、日本も無関係ではありません。以前、「日本のサイバーセキュリティ、大丈夫?」という記事を書きましたが、オリンピック開催時期は攻撃のターゲットになりやすく、これまでのような悠長な対策では対応できないでしょう。

さらに、ターゲットとなるのは開催施設だけではありません。デジタル化が進む電力網、発電施設が狙われれば、例えば開会式真っただ中に大停電を引き起こすこともできます。私がテロリストなら、比較的容易に計画立案できてしまう気がする。それではだめなのです。


ここ最近の米国エネルギー省、防衛省の動向を見ていると、

サイバーセキュリティという切り口でブロックチェーンへの理解を深めることは、必須になってくるのではないか。

そう強く感じるのです。




エネルギーにおける新技術というと、太陽光や風力といった再生可能エネルギーや次世代原子力が注目されがちですが、化石エネルギーも技術革新の余地が十分にあります。

そして、必要とされていると私は信じています。

というのも、全世界の発電における再生可能エネルギーの割合なんて未だごく僅か。既存の火力発電の効率化も同時に進めていかないと、地球温暖化や安全保障の問題に対応できません。


とはいえですね、


"化石燃料発電だけ"がブロックチェーン関連の助成金もらうなんてことはないですよね、トランプ政権よ、、、?

と疑問も呈して締めくくりたいと思います。


みなさまごきげんよう。


MALIS



公開日:2019/01/09
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  • @MariSaita
エネルギー政策専門のコンサルタントです。ニューヨークにいることが多いのでこちらの情報発信が多めになる予定。Twitter: @mari_saita

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