6歳の小学1年生の時。
俺は、国語の授業が凄く嫌いだった。
漢字を覚えさせられ、教科書を朗読し、作文を書かされる。
嫌いな授業だから眠くもなる。
周りを見ると座ったまま寝てる子もいた。
きっとその子も国語が嫌いなのだろう。
俺は、気持ちが共感できた。
当時の先生は、高野幸子先生というちょっと怖い女性の先生だった。
そんな先生の怖い授業でも、国語だけは眠くてしたかない。
ある時俺は、いつもの様に座ったままウトウトしてしまった。
でも高野先生は、いつも何も言ってこない。
この事を母親に話したら頑張って寝ない様にしているからだと言っていた。
なら俺も頑張って寝ない様にしようと、必死に眠気をこらえていた。
その時は、自分でもわかる位に頭を上下に振って頑張っている。
絶対高野先生は、そんな俺の姿を見て笑っていたに違いない。
とある日。
俺は、いつもの様に国語の授業で寝ないように頑張って顔を上下していた。
でも、とうとう眠気に勝てず寝落ちしてしまった。
この時、すごい勢いで頭を机にぶつけて「ドン!」という音が鳴り響いた。
一瞬、先生とクラスの子が俺の方を注目して凍り付く。
そうしたら、一斉に怒涛のような笑い声で、みんなが笑い始めた。
高野先生も笑っている。
俺は、この時大恥をかいてしまった。
しかもおでこを触ったら、たんこぶが出来ている。
もう、恥ずかしくて机の下に潜り込み、体育座りでいじけてしまった。
そうしたら高野先生が来て「おでこを見せてごらん」と言われた。
俺は、顔を上げおでこを見せ、たんこぶが出来た事を伝えた。
高野先生は、たんこぶが思ったより大きかったことに驚いていた。
この後、保険係の女子に連れられ、保健室に向かって行った。
保健室に到着したら、保健の先生が俺のたんこぶを見てびっくりしていた。
自分では、気にならなかったけど、結構大きかったらしい。
保健の先生が赤チン塗るから椅子に座ってと言うので椅子に座った。
何故かその隣に、保険係の女子も座ってきた。
そしてその女子は、俺の顔を覗き込み、また大爆笑し始めた。
俺は、恥ずかしくて「もう許して~」という気分だ。
しかもその女子は、聞かれてもいないのに余計なことを話し出す。
俺が眠気を我慢し顔を上下に振っていた事。
そして眠気に耐えられずとうとう寝落ちて、そのまま顔を机にぶつけた事。
全部保健の先生に話しやがった。
そして、保健の先生まで爆笑し始めてしまった。
俺は、この女子に一瞬殺意を覚えてしまった。
この後、保健の先生に赤チン塗ってもらい教室に戻っていった。
教室のドアを開けたら、クラスの子全員が俺に一瞬注目する。
そして、また一斉に大爆笑されてしまった。
この時、国語の時間寝ているのは、俺だけじゃないのにと思った。
何で俺だけこんなに笑われないとならないんだ?
そう感じた。
学校が終わり帰宅する時、俺は三品孝之君という友達といつも帰る。
この三品君は、幼稚園の時からの幼馴染の友達。
帰り道、大人の肩位まである雑草が生えた空き地がある。
ここは公園が出来る予定だけど、まだ工事が始まってなく放置状態だった。
我々は、この雑草の中を通って帰ると近道だというのを知っていた。
雑草地帯に入る手前で、三品君が追いかけっこして雑草を抜けようと言う。
そしたら、授業中寝ていたからお前鬼なと言われて鬼役にされてしまった。
三品君は、雑草の中に走り出し、俺が追いかけて行く。
ここに一歩足を踏み入れると、周りが雑草だらけで方向感覚がなくなる。
この雑草の中、2人でずっと外に出られない状態のままで走り回っていた。
突然三品君が目の前に現れ、捕まえようとするとすぐ逃げて捕まらない。
そんな事を、永遠に繰り返していた。
周りが見えない中、相手が突然現れると凄くビックリする。
それが楽しくて時間を忘れて遊びまわっていた。
そして疲れ果てて、方向が解らないま、まっすぐ進み雑草から出た。
俺は帰る時、毎日こうして寄り道をして帰って行った。