12歳の時。
ドラゴンクエスト2を、買いに行った。
発売日には買えなかったから、発売日から1週間後位の事だった。
この時、上野の多慶屋でドラゴンクエスト2が売られる予定だった。
その情報は、友達が多慶屋に貼られていた広告で確認した物だった。
俺は、発売日は休日なので友達に朝一で一緒に買いに行こうと言ってみた。
そうしたら、ダメだと言われてしまった。
何がダメなのかと言うと。
そんな時間に買いに行っても、売り切れているからダメだと言う事だった。
なら買えないなと諦めたが、友達は手に入れる方法があると言い出した。
それは、発売日前日の夜から並んでいれば朝の出荷の時、買えるらしい。
俺は、そこまでしないと買えないのかと感じたけど、それでも欲しかった。
そして、仕方ないので覚悟を決めて友達と前日から並びに行く事にした。
なら発売日は、夜の11から並ぼうと友達が言い出した。
多慶屋が開店する時間は、朝の10時から。
それまで11時間も並ぶのは、やりすぎだと感じた。
しかし俺は、友達の気合の入り方に押されて夜11から並ぶ覚悟を決めた。
当日、自転車で待ち合わせて多慶屋に向かう事にした。
この日友達が迎えに来たのは、夜10:30頃。
家族はこの時間寝てしまっていたので、こっそり家を出て行った。
そして俺は、友達と多慶屋に向かって行った。
多慶屋に到着したら、もう既に10人位並んでいる。
その光景を見て、凄い気合の入った奴らばかりだと感心した。
そして列に並び我々は、会話をしながら待つ事にした。
この頃は、まだ携帯なんて無い。
みんな本とかお菓子で時間をつぶしている。
コンビニすら夜11時で閉店してしまう時代だった。
しかも、しばらく話していると話も尽きる。
おれは、眠くなったのでその場で座って寝てしまった。
しばらくして、俺は突然友達に起こされてしまった。
時間は、深夜2時頃。
そして、目的のドラゴンクエストが、店に搬入して行く所を見せられた。
俺は、ドラゴンクエストのが入った段ボールが大量に見えた。
それが、店の中に搬入されるのかと思ってみていたが、搬入されない。
しばらく見ていたら、店員が500個入荷しましたと叫んだ。
そして、このままだと開店出来ないから今から販売します!と言い出した。
お金を持って来てない人には、整理券を渡します!とも言っていた。
長蛇の列の有象無象共からは、歓声が聞こえて騒ぎ出している。
我々は、お金は持って来ていたのでその場で買える事が嬉しくなった。
俺は、すぐ家に戻りキチガイの様にドラクエが出来る喜びに満ち溢れた。
そして、我々はドラゴンクエストを手に入れ夢心地のまま帰路に向かった。
俺の顏は、この時きっと嬉しくてすごくだらけた顔になっていたと思う。
そして頭の中は、ドラクエの事でいっぱいだった。
自転車で帰る途中眠気もあり、電信柱に衝突して転んでしまった。
でも、全く痛く無い。
もう完全に、あっちの世界に入り込んでいた。
そして嬉しさのまま、家に到着した。
家について自転車を降りてドアを開けたら、父親の姿が見えた。
物凄い怒りの形相で立っている。
そして、父親に「こんな時間にどこに言ってたんだ!」と怒鳴られた。
更に間髪入れずに鉄拳パンチが飛んできて俺は、夢の世界から目が覚めた。
そしてドラクエを買いに行った事を話し謝ってやっと家に入れてもらえた。
俺の父親は、昔から口より手が先に出る父親だった。
お陰で、しょっちゅうたんこぶが出来ていた。
その後、俺は今からドラクエをやったら殺されるかもなと感じた。
なので、すぐに寝てしまった。
そして朝起きてから、俺はすぐにドラクエをやり始めた。
でも家の掟でゲームは、1日1時間までと決まっている。
たった1時間じゃ全然物足りない。
なのでいつも、この後は友達の家に行きゲームをしている。
友達の家は、友達が来た時はゲーム時間が無制限だからだ。
でも、これでもゲームをやり足りない。
まるでゲームが麻薬の様だった。
俺は、ゲームが我慢できなくて、深夜こっそりゲームをしていた。
でも、たまに親に見つかり、また鉄拳パンチを食らっていた。
俺は、それでもゲームを辞められず懲りずに、あの手この手でやっていた。