6歳の時
家にアルミ製の地球儀があり
よくグルグル回して遊んでた。
当時
自分が住んでいる国や外国の事を
お婆ちゃんが色々教えてくれた。
しかし俺は
世界の事など全く興味がなく
ただ勢いよく回る地球儀が面白かっただけ。
でもこの頃
再放送アニメが盛んで
そのアニメに必ず地球が出てきてた。
この頃の再放送アニメは
マジンガーZ
グレンダイザー
ガッチャマン等あった。
俺は
アニメに必ず出てくる地球を見て
綺麗な色合いが好きになった。
その綺麗な色合いの地球儀が
見ているだけで気分が良く
ついでにグルグル回して遊んでた。
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地球儀で遊んでいる俺を見て母親は
世界地図が好きなのかと勘違いしたのか
世界地図パズルを買って来てくれた。
この世界地図パズルは
国の形のパズルのピースが
国の数だけある物だった。
その国の形を組み立てて行けば
平面の世界地図として完成する。
しかも
国ごとにきちんと色分けされて
凄くカラフルで綺麗で
この色合いが好きになった。
日本が赤
中国が黄色
ソビエトが緑
カナダがピンク等
でも
モンゴルの黄土色だけは
なぜか好きになれなかった。
それは
何かうんちの色にそっくりで
汚いイメージがあったからだった。
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俺は
そのうんち色のモンゴルだけ
あまり触りたくないから
毎回1番最後に組み立てていた。
逆に一番好きなピースは
一番大きなソビエトだった。
ソビエトは
シベリアとセットで
全体の大きさの半分もあった。
このソビエトを軸にして
毎回世界地図のパズルを組み立てていく。
その方が
楽に組み立てる事が出来たからだった。
ある時
このソビエトの右端を見ると
何かほかの国と違って
何も表示されて無い事に気が付いた。
他の国のピースには
街の名前や
電車の路線や
山の名前等が書いてある。
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俺は
この事が不思議で母親に聞いてみた。
そうすると
「よく解らないからお婆ちゃんに聞いてみて」
そう返事された。
そして
次お婆ちゃんが来た時
ソビエトの右端部分に
何も記載されて無い事を質問してみた。
そうしたらこの場所は
「氷の湖がたくさんあって
昼と夜が1年に1回ずつしか来ない所なの」
そう言っていた。
俺は
「1年のうちの半分が夜で1年の半分が昼なんて
気がおかしくなりそうな所だ」
そう感じてしまった。
そもそもこんな過酷な環境が
本当に実在するかも信用できないし
人が住んでいるなんて到底思えなかった。
でもお婆ちゃん話では
きちんと人が住んでて町があるらしい。
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俺は
何故そんなにきちんとした情報があるのに
ソビエトのピースに何も書いて無いのか
お婆ちゃんに尋ねてみた。
そうすると
「この地域に怖い核兵器工場があるからだよ」
そう言って俺を怖がらせてきた。
そして俺は
「つまり軍事機密がある場所なんだ~」
そう理解した。
この頃の俺は
お婆ちゃんから戦争の話を聞いていて
軍事機密の重要性も少し理解していた。
今でも
このソビエトの右端が
モザイクされて地図に表示さる。
当時も冷戦中で
ソビエトの右端だけが
どんな地図にも表示されて無かった。
こんな事もあり俺は
このソビエトの右端を知りたくなってしまう。
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俺は
このソビエトの右端に何があるのか
学校の先生に聞いてみた。
当時の担任の先生は
女性の「高野幸子」先生と言う
若くて美人な先生だった。
でもこの先生は
話し方がちょっと怖い先生で
ソビエトの右端を聞く事をためらってしまう。
でも
恐る恐る聞いてみると
高野先生が眉をしかめてこう答えた。
「先生も今よく解らないから
明日この位置の地図を持ってきてあげる」
そう約束してくれた。
そして翌日
高野先生がこの位置が書かれた地図を
きちんと持ってきてくれた。
高野先生がその地図を
1時間目の授業中に見せてくれると言うので
クラスの子たち全員と見る事にした。
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1時間目の授業中に
高野先生が見せてくれた地図は
凄く古臭く黄色く変色していた。
その地図には
きちんと街の名前や道が表示されていて
確かにソビエトの地図だった。
そして高野先生は
「私の祖父がシベリアにいた時
上官からもらった貴重な地図なの」
そう言っていた。
当時の俺は
その事が解らなかった。
つまり高野先生の祖父は
シベリア鉄道を作らされた
奴隷だったらしい。
そんな貴重な地図を見た俺は
凄く読み難い名前がたくさん書いてある事に
目を輝かせてみていた。
そこに書いてあった名前は
手書きの日本語で書かれていていたが
凄く読み難い名前ばかり書いてあって
もう全然覚えてない。
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そして高野先生は
その地図を1時間目が終わると
すぐにしまった。
そして
この日以来また見せてと頼んでも
なぜか絶対に見せてくれ無かった。
でも俺は
確かにあの空白の場所に
街と道があった事を知る事が出来て
気持ちのもやもやが晴れていた。
俺は
高野先生が空白の土地の地図を見せてくれた事を
お婆ちゃんに話してみた。
そうすると
「その場所の事は
絶対に忘れないで覚えておいてね」
そう言われた。
でもこの時既に俺は
なんて書いてあったのかなんて
ぜ~んぶ忘れてしまっていた。
今その場所に行く方法は
許可をもらえれば
陸路で行く事が出来るらしい。