5歳の時。
俺は、三郷団地の天使幼稚園れんげ組に通っていた。
この幼稚園は、遊ぶ時間もあるが、勉強もさせられるところだた。
先生が絵本を読んでくれる事もあったが、歴史の本も読んでいた。
歴史の本の内容は、当時全く興味が無く覚えていない。
確か「一休さん」と「ファーブル昆虫記」を読んでくれていたと思う。
歴史朗読の時は、つまらなかったのでいつも寝ていた。
朗読で嬉しかったのは「大きなカブ」と「桃太郎だった」。
あと、英語の勉強もさせられた。
英語と言っても、簡単な単語を覚えるだけの事だった。
この時、外国人の先生が来てくれて勉強をした。
やり方は、絵が描いてある単語の紙芝居方式で勉強していた。
でも、英語の勉強なんて非常につまらなかった。
俺はそれより、ブロックのおもちゃで遊びたかった。
ある時、母親に勉強は面白くないと愚痴を言っていた。
そしたら母親が、いつも内緒で友達と行く所に連れってってくれるという。
そこは、「そごう柏店」の回転展望レストランだった。
当時は、柏の駅ビルが「そごう」で、そこに回転する展望台があった。
俺は、この時幼稚園を休んで連れってってもらった。
そして柏に到着して回転展望台に上ったら、本当に回転してて感動した。
ここから見る外の景色が本当に回転して見える。
それが嬉しくて、思わずそこを走って1周してしまった。
母親は、いつも俺に内緒でこんな良い所に来ていたのかと思った。
この時、母親はずるいと感じた。
ここの回転展望台には、レストランがあった。
名前は「ラロンド」。
どこかのホストみたいな名前だ。
母親は、いつもここで鶏肉の料理を食べていたらしい。
その鶏肉料理を注文して、俺も食べてみた。
この「ラロンド」の鶏肉料理は、母親が凄く絶賛していた。
そんなに感動するほど美味しいのかと、食べるのが凄く楽しみだった。
そして、鶏肉料理が来て食べてみたら、信じられない位美味しい。
俺のような5歳のクソガキでも、はっきりと美味しさが解る。
この時俺は、本物の味を経験した。
確かに友達と一緒に内緒で来たい訳だ。
このレストランで、俺は鶏肉料理を堪能してご満悦になれた。
そしてこの後、俺は屋上に行きたいと母親に言いってみた。
これ位大きいデパートの屋上には、遊園地がある事を知っていた。
そして屋上の遊園地に連れってってもらい色々遊んで回った。
1番面白かったのが、ゴーカートだった。
レールを走るゴーカートだったけど、遊園地の醍醐味が味わえた。
俺は、ここで存分に遊ばせてもらった。
この後、母親といつも必ず行く地下の食料品店に行き、買い物をした。
ここで俺は、色々試食させてもらった。
でも、なぜかしょっぱい物ばかりで、当時の俺には味がきつかった。
特にイカの塩辛を食べた時は、辛すぎて死ぬかと思った。
そして母親も俺も、ここで存分に楽しみ家に帰った。
母親は、この柏のそごうに行く時、よく俺や弟を連れってってくれた。
行く時は、いつも俺か弟1人ずつ連れて行っていた。
そして、必ず幼稚園を休んでいっていた。
母親の友達と行く時は、連れってってくれなかった。
多分、思いっきり遊びたかったからだろう。
そりゃ当時の母親の年齢は、まだ24歳と若いのだから仕方ない。
まだまだ遊びたい盛りの年齢だ。
俺は、たまに連れっててもらえる回転展望台が大好きだった。
やっぱり外の景色が回って見えるのが、凄く楽しくて仕方ない。
今もこの嬉しさが忘れられなくて、この回転展望台に行きたいと思う。
でも「そごう柏店」は、もう閉店してしまい、あるのは建物だけ。
あの回転展望台だけでも営業再開してくれれば嬉しいと思う。
維持費は凄く高いが、あそこのレストランは感動だった。
回転展望台のレストランなんて、今はもうほとんどない。
あの雰囲気、あの楽しさ、もう感無量だった。
もう1度行ってみたいな。