戯曲形式の短編。
とある邸宅の食堂を舞台にした密室劇。
一家の全員と因縁浅からぬバンドマスターの交通事故死が伝えられ、人々は一介の秘書にこっそり、かつ次々と「自分が殺したようなものだ」と打ち明けるのだが……。
初出は文學界。
元々はラジオドラマの台本で、それを改稿したものらしい。
性質上、文体のマジックが鳴りを潜めているのは致し方ないところだが、トリッキーなラストはいかにも喜劇的、近年「シアターΧ名作劇場」で初上演されたりなど、一定以上の評価は得ている模様。