![Eye catch](https://alis.to/d/api/articles_images/NNNz/KBXlXzVe7RYQ/0079e55f-3198-4d4c-a86c-1cf6804f88a8.jpeg?d=592x296)
短編。
絶世の美男子、佐治は女性を不幸にし、犯罪計画を自ら露呈する類いの偽悪病患者である。
病弱な夫と暮らす妹に手紙でそう警告する兄だが、当の妹は佐治を遠ざけるでもなく、最賀なる夫の後輩をお目付け役として呼び寄せるに留める。
やがて短い電報にて悲劇が報されるが……。
文を寄越さなくなる妹に兄の不安が膨れ上がる様子や、逆に兄からの返信が途絶えて悲嘆に暮れる妹の文章など、往復書簡形式ならではの構成の妙が光る。
小粒ながらも犯罪小説の醍醐味は堪能できる。
当時の電話に関する推理の根幹部分はさすがに時代を感じるが、兄と妹の文体の対比など、今でもSNSのメッセージで代用できそう。