短編。
発端は一通の封書と小包。
手紙の内容は、とあるインドネシア人による、日本人の主人の当地での生活ぶりと免職後の舟旅及びその最期を、遥か異国の奥方に辿々しいけれども誠実な筆致で書き記したものであり、小包は遺骨。
手記ものであり戦争ものでもあり漂流ものでもあるのだが、それらのいずれにも還元されない美しい描写と心情に胸を打たれる。
稚拙を装う超絶技巧の凄みよ。