
激マン!デビルマンの章を読んで以来、いつか再読せねばと思いつつなかなか手をつけられずにいたが、能登半島地震における永井豪氏のコメントを目にして今こそ読まねばと発起。
何度読んでも終盤の展開に心を抉られる。
救いがない。
一筋の光明すらない。
地獄である。
そんな地獄の様相を描いたマンガ界のレジェンドが、先の被災に関し、頑張って乗り越えていきましょう! とポジティブに呼びかける意義は決して浅くない。
人間の暴虐を誰よりも鮮明に描き出した凄まじい頭脳が、今度は復興を思い描いて鼓舞するその姿勢に改めて心が動かされる。
激マン!デビルマンの章によると、執筆中は様々な制約に縛られ、本当に描きたかったことと実際に仕上がったものの間にかなり乖離があったようだが、おかげでコンパクトにまとまって長期連載にありがちな冗長さがなくなるのだから、神がかり的いや悪魔憑き的な手腕である。
後のバイオレンスジャックや一連のサーガの原点にして頂点、絶大なトラウマを与えつつ壮大な最終戦争まで一気に駆け抜ける、マンガ界の奇跡だ。