真山仁氏のハゲタカシリーズ四番目の本である。舞台はリーマンショックで揺れるアメリカで、アメリカの老舗製造業アメリカン・ドリーム社の買収を巡って、鷲津は大物投資家、政治家、投資銀行、アメリカ政府と対立する。
まあ何と言うか、アメリカってすげえ面の厚さだなと思った。アメリカという国の本性を知るのに最適な本である。
作中では大物投資家のサミュエル・ストラスバーグは投資銀行GCを無条件で救えと鷲津に命令したり、投資銀行やアメリカン・ドリーム社の幹部は黄色い猿の助けなんぞいらんと言い放ったり、アメリカの危機は世界の危機だと煽る政治家がいたり、まあすごい。傲慢、強欲、無責任のオンパレードである。一応言っておくが、アメリカばかりがそうだとは思っていない。ただ日本は無責任ではあるここまでは強欲ではないと信じている。
タイトルのグリード(Greed)は強欲という意味だが、アメリカとは本当に強欲の権化である。リターンは自分のもので、リスクは他人に押し付ける。まるでどこかのジャイアンである。サブプライムローンみたいな上手く金融商品に混ぜて、専門家すらわからなくする知恵は感動ものである。
現実問題として10年前にアメリカはサブプライムローンによって世界経済を大混乱に陥れたが、彼らが謝罪したり反省したという反応は見たことがない。そのくせ最近またリーマンショックやサブプライムローンの教訓を忘れて(あるいは最初から頭にない?)、トランプ大統領を先頭に、世界を混乱に陥れている。
ユニコーン企業や仮想通貨のICO(新規仮想通貨の公開)なんかも、余った投資マネーの受け皿として無理やり作ってんじゃないかとすら思う。もちろんユニコーン企業や仮想通貨も実際の収益が伴っていればいいのですが。
世の中平和にならないもんですかね。