スティーブン・ピンカーという人は、世間では有名な人なのだろうか?
私は今回、NewsPicks Magazineで、そのピンカーさんのインタビュー記事を読み、その存在などを知った。
ピンカーさんは、ハーバード大学の教授で、進化心理学の第一人者なのだそうだ。その新著『21世紀の啓蒙』が、かのビル・ゲイツに大絶賛されているという。
さて、このインタビュー記事のタイトルは、『世界は悪い方に向かってなんかいない』。
ピンカーさんによると、科学の発展は、人類をよりより方向に導いてきたし、これからもそうあり続けるのだという。
科学に価値がある理由は、人間の進化を育んできたことにあります。人間の寿命を長く、安全にしてきましたし、教育を与え、貧困や病気を減らしてきた。つまり、科学は人間のウェルビーイングの改善に密接に関わっているわけです。そして、それこそが科学を擁護する一番大きな理由です。
ーースティーブン・ピンカー。NewsPicks Magazineのインタビュー記事より
ふむふむ。
どちらかというと、テクノロジーに対する楽観的な見方と言えるかもしれない。
おもしろいのは、同じNewsPicks Magazineの別のインタビュー記事では、これと異なる見解が述べられていることだ。
アレックス・クリジェフスキーさんという人は、画像認識のAIー“AlexNet”を開発した研究者の一人。
この人は、テクノロジーに対して懐疑的だ。
今のAI時代をつくったのは僕だ、ともいえるかもしれない。「AlexNet」は、間違いなく人々のマインドを変えましたから。では、それが社会を良くしたかといえば、難しい。病気の発見や自動運転など、あらゆる種類のAIが生まれ、物事を改善しています。一方で、それは社会を悪い方向に導くかもしれない。戦争に使われることもあるでしょう。新しいテクノロジーの真価は、常にその使い方に依存しますから。
ーーアレックス・クリジェフスキー。NewsPicks Magazineのインタビュー記事より
クリジェフスキーさんの念頭には、ひょっとしたら、顔認識技術が、中国政府の支配体制の維持に用いられていることがあるのかもしれない。
科学技術やテクノロジーの発展は、人を幸せにするか?
私はこれにとても興味がある。
そして、これには賛否両論ある。
たとえば、レイ・カーツワイルさんだ。
2045年ごろににAIが人間の知性を超えるという「シンギュラリティ」を唱えた人だ。
カーツワイルさんによれば、誰もがシンギュラリティの恩恵をこうむり、人類の幸福は増大する。
その逆なのが、ユヴァル・ノア・ハラリさん。その著書『ホモ・デウス』が、世界的ベストセラーになった人だ。
テクノロジーの進化によって、得をする人と、そうでない人に分かれてしまい、格差が増大するという。
果たして私たちの未来はどうなるのか?
(※カーツワイル、ハラリ両氏は、NewsPicks Magazineに登場するわけではありません。念のため。)
書店でNewsPicks Magazine 2020 VOL.6を見て、珍しく衝動買いしてしまった。
特集は、年末年始の雑誌にありがちなものだった。
すなわち、『2020年大予測』。
読み応えある記事が満載で、考えさせられた。
何回かに分けて紹介したい。
(2020年1月13日)