「ねぇ~、ちょっと聞いて下さいよ〜。昨日、ニキビを焼いてきたんです。先生は全然痛くないって言ってたのに、めっっちゃ痛かったんです!もぉ〜最悪!」
「へ、へぇ〜…あ!それで絆創膏してるのね。」
「そぉーなんです!もう、めっちゃ痛かったです!」
「そ、そーなんだぁ、それは大変だったね」
「そぉーなの〜」
「……、……」
──沈黙。
!!??
……は?なんだこれは??別にニキビ焼いてきたとかいう情報どうでもいいんだが?開口一番それ?いやまぁ、なんか顔に絆創膏貼ってあんなぁ…って気になってたけど…
説明を終えたならさっさと次に行こうよ!
え、何この沈黙?
ニキビの話まだ引っ張りたいの?もっとしたいのニキビの話?おっさん相手に??
え、夜の新橋の雑居ビルの4階の怪しげな新店舗で席に座らされて横についた女の第一声が「ニキビ焼いた」??もっとこう、他にないの?部活中の中学生か?
もっとこう、大人で、妖しく、艶めかしく、危うく、上品で、蠱惑的な話と雰囲気があるのではないか…?そんな世界を夜の店に期待していたわしは開幕早々に女の場違いで突拍子のない話題に調子を外されてしまった。わしが夜の世界に抱いていた憧れは幻想だったのかもしれない…ひどく残念だがそんな現実を受け入れることも、此度の旅の目的の1つであったが故に、己が見聞の広まりを感じるとともに目を瞑ることができた。しかしそれはそれとしても話順としてこれは常識的な距離の詰め方として斜め上のアプローチではないかと困惑した。会っていきなり顔に食パン突きつけられて「嗅げよ。」とか言われてる、いや、「舐めろ。そして味の感想を言え。」とかやられてる気分だ。そんなん「麦の香りです」とか「ザラザラしてます」以外の何物でもない上に舌ベロの唾液持ってかれて口の中パッサパサで気分悪いんですけど??
もしや、コイツ、素人か…?初入店のわしは素人ながらもこの女がおそらくまだ雇われて間もないシロウトだろうと見抜いていた…。
でもしょうがない。わしはこの空間を理解しようと努めた。そういうものなのかと無理やり納得し、乾ききった舌の根を必死に動かしてニキビに1mmも興味ないのに「うんうん、施術費は?」とか「どんな先生だったの?」とか「レーザー?」とか必死に話題を広げようとする。しかし、女の関心は「痛かった」「怖かった」の一点に集中している。まるで深みのない水たまりのようだった。こわい。
もっとこう…ブロックチェーンの話とか、おすすめの株とか、積立NISAとか、AIとかロボットとか、おすすめの健康法とか、こどもにやらせたらいい習い事とか、カムイに対してシェリーで処理していいのかどうかとか、伏兵を打つタイミングとかそういう話できないの!??
仕方がないから、女の出身地やら最近ハマってる趣味やら食べ物やらわしが聞き出しはじめてなんかもう面接みたいになってきた。なんか君、努力怠ってない?
すると女は「女性用風俗店に興味がある」などといかにもスケベ親父が食いつきそうな話を始めたりする。ふん、これ見よがしに下世話な話に持っていきおって、このわしが知り合って間もない女のふんわりした風俗の話にそんな安直に乗るわけがなかろうが。「興味ある」ではなくて「行ってきた」話を聞かせろ。お前には"覚悟"が足らぬ。所詮はおぢの気を引くためだけの中身のない話。
なんと安っぽい誘導か、このような浅薄な話に乗るほどわしは軽率ではない。おぢさんを舐めるな!
そこからは女の好みのタイプの女を聞き出し、近場の女性向け風俗店の店舗やキャストを眺めてはああでもないこうでもないと大いに盛り上がった。
うん、盛り上がった。
すると突然女が素っ頓狂なことを言い出す。
「私もお酒飲んでいい?」
「え?飲めばいいじゃん。」
驚いた。都会の女は飲み物を飲む度にいちいち許可をとるのか?真っ先に亭主関白が失われた地であろうに、やはりこういうさあびすを提供する店では、男性優位な思想が色濃く残しているのか…
「ヤッター♡ありがと〜!」
ボウイを呼びつけて「きてぃ」なる酒を言いつける女。
それを受けて「ありがとうございまぁあす。」などと声を張るボウイ。
え?わしが金を払うのか?お前が飲む酒に?というか、お前らは「ばあ専属の店員」なのだろう?なぜいちいち金を払って酒を飲む?休憩中のコンビニ店員か?そんなもんは店の経費で落とすなり、給料から天引くなりして勝手にガンガン飲めばよかろうが!などといった文句が数舜の内に脳内をめぐるも、ここで料金が発生すると知った途端に嬢の酒代を出し渋るようなケチな男に見られたくないというしょうもない見栄に釣られて、言われるがまま料金も確認せずに酒を用意させる。
会ったばかりの女を前に、わしは虚栄心に支配されていた。哀れ…。
ちょっとまて、何だその赤い美味そうなかくてるは…!
さっきからわしは水しか飲んでないのだぞ!こうなったらわしもなんか酒を…そうか、別料金がかかるのか…。
わしらがタダで飲めるのは、はじめにテーブルに用意された焼酎とかいう臭ェアルコールだけなのだ、そうか、そういうシステムか。
わしは黙って水をあおった。コーラが…せめてコーラが飲みたい…。
しかし初心者のわしが店の実態も掴めておらぬうちに注文するのは危険だろう…メイド喫茶でさえ飲食物で法外な金を要求されるのだ。危ない…女の酒につられて、つい自分も飲み物を頼みたくなってしまった…これが奴らのやり口なのかもしれぬ。はやまってはならぬ…ここは、見(ケン)に徹する!!そう決めるとわしはグラスの水を飲み干した。
すかさず嬢が空のグラスへと水を注ぎ足す。負けぬ、負けぬぞ。
するとまたしても女が素っ頓狂なことを言い出す。
「あたしもっとここにいたいな〜、もうちょっとお喋りしてもいいですかぁ?」
「えぁ?居ればいいじゃん。」
驚いた。都会の女は話を続けることにもいちいち男に許可をとるのか。やはりこういう店では少しでもつつましく振る舞い男を立てるということか。殊勝な心がけだが、流石にいささか時代遅れではないか?などと困惑しているとKとSの横の女が別のテーブルに移動し新しい女が横に座り始める。
わしの隣には変わらずニキビが座り続けた…。
「ヤッター♡ありがと〜!」
くそ!!!そういうことか!!この女!わしの善意につけ込みおったな!!?
指名!?またお金がかかるのか!?クソ!ハメられた!!?
嘘だろ?いい加減このニキビ女の話がつまらな過ぎてうんざりしていたところなんだ!!チャンスがあるなら変えて欲しいところだったのに!
クソ!コイツ…本当は玄人か!?抜け目のない女狐め!!
やられた!わざわざ金を払ってまで引き続きこの女の話を聞くつもりなんてないんだ!!わしももっといろんな女と話したい!っていうかKとSとお話したい!!
助けてくれ。
そこからのことは記憶にない(多分飽きていた)がなんやかんやあって、やっと退店時刻となった。
会計が始まる。
1人15000円!!?
これは一体どういう了見か?
あまりの法外な値段にしばらく耳を疑った。
しかも、わしは指名料を加えて18000円になるという。
18000円と言えば、昼過ぎに女体の裸を拝んでは性的なさあびすを受けた時に払った金とほぼ変わりがないではないか。
それが、たかだか1時間、隣に若い女を置いて、その女のつまらぬ話に耳を傾け、水を啜り、愛想よく相槌を打ってやり、多少酒を飲ませてやっただけで18000円だと!?ふざけるな。
これが俗にいう「ぼったくりばあ」という奴なのだろうか。わし達はあのイカツイ客引きにまんまとハメられたわけだ。なんたることか!やはり東京は恐ろしい!
などと憤慨しながらもきっちり1万8000円を財布から出すとわしはボウイに代金を押し付けてトイレへ向かった。構わん、今回の物見遊山では予算内であれば金に糸目はつけぬと決めていた。良い勉強になった。などと狭苦しい便所の中で気持ちを落ち着けて席にへ戻ってみれば、何やら揉めている様子...。
どうやら釣銭の金額が合わないらしい。それも100円や200円どころの話ではなく、数千円単位だという...。
しかしこちらはわし以外は既に酔っ払いの親父2人、唯一素面のわしは会計は全てKに任せてトイレに行っていたため、事の次第がはっきりわからず、なんとも口を挟みずらい状況だ。
頼みの綱のKもすっかり酔っぱらっていて(普段から酔っぱらっているような空気を常に出しているが)果たして今ヤツの脳みそは正常に働いているのかどうかさえもわからない。
なるほど、これが都会のヤリ口か、これが「ぼったくりばあ」。やはり東京は恐ろしいところだ。
若い女を隣に付けて、散々お世辞を述べては酒を飲ませて、前後不覚に陥ったところで法外な値段を突きつけて、釣銭の額までもちょろまかすとは...!一見、献身的に寄り添ってくる嬢や甲斐甲斐しく酒を給仕しに来るボウイはわし達客の仲間のような雰囲気を出してはいるが、所詮は幻。みすぼらしいじじいを不自然なまでに褒めそやすこの女も、気さくで阿呆のフリをしているこのボウイも、全員が店とグル。わしらから毟れるだけ毟り取ろうとする蟻地獄の砂に過ぎないのだ!全てが計算された演技、役割、茶番。ここには悪魔しかおらぬ。たかが身なりの良い女に話を聞いてもらうだけで、これほどまでに搾取されるというのか、東京のおぢさん達に尊厳はないのか?やはりおぢさんは社会にとって忌むべき対象、金を回すことだけでしか存在を許されない薄汚い劣等生命体なのか?などと世間から爪はじきにされたおぢを食い物にする冷酷なシステムに寒々と絶望していると嬢の一人が鋭い指摘を飛ばしてきた。
「計算したらお釣り8000円なんだけど、800円しかもらってないからこれ桁1つ間違えてんじゃない?」
なんと!蟻地獄の砂にも心はあったか!このわずか1時間ばかりの間でも、確かにおぢと嬢の間に友情は芽生えていたのだ!ここにもまだ、人の温もりは残っていたのだ!
しかし、8000円と800円を間違えるとはどういうことか?いくらあのボウイがいい加減だとしても、流石にレジを打っている者も違和感を覚えないのか?もしやこの店の男は小卒しかおらぬのではないだろうか?やはりアウトローがその凶顔と拳にモノを言わせて経営しているヤバイ店なのかもしれぬ…。しかし酔っぱらったKもまたそのような輩に屈してはいそうですかと易々と金を払うタマではないことはこれまでのヤツの振る舞いを見れば確かであろう。これ以上話がこじれるのは御免だ。そして酒とこの場の雰囲気に吞まれて白化してしまったSはもはや使い物にならぬ。やはりここはわしが一言モノ申してくる必要がありそうだ。
意を決してレジの方へ向かうと、先程のボウイが必死に事の次第をレジの男へ説明していた。
「だから、まずあの人から1万円もらって、次にこっちの人から1万円もらって、それで5千円を返して、そんで次のあっちの人から...」
はぁ、そんな説明でわかるものか、まるで要領を得ないボウイの説明を遮り、わしはレジ打ちの男に嬢が見出した結論をもっともらしく伝えてみた。
そこからゴネられたり脅されたりしてそのまま黒服に別室へ連れて行かれ指を落とされた後800円でねじ伏せられるかとも思ったが、何のことはない、あっけなく8000円戻ってきた。いやはや、そのまま拉致監禁から東京湾の底まで覚悟しての訴えだったのだが、すんなりと要求が通って驚いた。開店したばかりの新店舗という事で悪評が立つのを恐れたのか、なんにせよわし達は"適正な釣銭"を握りしめ無事に新橋の「らうんじばあ」から退店できた。
初めての「らうんじばあ」を体験したわしはいささか興奮していた。そのさあびすの内容については、実に面白くなかったが、大都会の夜の闇へと肉薄し、アウトローに法外な料金を吹っ掛けられながらもなんとか一矢報いて命からがら生還せしめたのだという事実が、スリルを帯びた漢の経験と生の実感となって胸の奥から沸々と湧き上がってきたのだ。頭の中に「奇跡」の2文字が浮かび上がり、店を出てもなおいましがた体験した非現実の余韻に浸っているとKが驚くべき言葉を放つ。
「いまの店は優良店だ」
!!!?ッッ
料金は適正、むしろ入店の前のKの交渉通りに相場より安めで嬢の質も悪くないという...。
ばかな...。
あれだけで、たったあれだけで、1万8千円だぞ!?
わしはつい先刻はじめて体験した「でりばりぃへるす」との料金の比較を、会計の時に頭によぎったのと同じようにKへと力説した。
しかし、Kは落ち着いた様子で「そういうもんだ」と答える。
?
わからぬ、「でりばりぃへるす」でも気持ちよく話は聞いてもらえるし、世辞だって言ってもらえたぞ?いまの「らうんじばあ」の女と何が違う?加えて「でりばりぃへるす」にはそこから様々なオプションがついており、性欲を掻き立てリビドーの解放までもがムフフなさあびすに含まれていた。金額を見ても、なるほどこれならば、と納得できる料金だったのだが、いまの「らうんじばあ」がそれと"同じ価値"だとは到底思えん。らうんじばあでできる体験など、全て「でりばりぃへるす」に内包されているではないか!!まったくどういう了見だ?都会人の頭はパァか?それとも世のおぢは皆孤独で脳みそがダメになってしまったのか?
しかし...なるほど、よくよく考えてみれば、これまでよく男衆の間で笑い話として散々聞かされてきた武勇伝によると、"でりばりぃへるす"なるさあびすは、それほど女性の質が均一に担保されてはいないというらしい。つまり半ば博打。相応の対価を用意せねば玉石混交の籠の中にちんちんを突っ込むようなもの。極楽を求めて金を払ったにもかかわらず、返って地獄を見たという話も少なくないらしい。
一方、先程入った"らうんじばあ"なるさあびすは、おそらく働いている女性の質が担保されているという事なのだろう。金を払えば確実に顔のいい女に酒を注がせヨイショしてもらえるというのだ。
なるほど、この2つを比較した場合、もし博打に出て不幸にも化け物が現れた場合、怒張した股間の収め先を失い、行き場のないリビドーとやるせない徒労感に加え、そこで強行される苛烈なるさあびすからトラウマを植え付けられる可能性もあるのだ。
同じ金額を握りしめてさあびすを受けるならば、その内容ははおべっかに留まるが、確度高く顔のいい女に褒めそやされる方を選びたくなる気持ちもわかる。
しかし、まて。
そこで気持ちよく褒めそやされ怒張したリビドーは果たしてどこへ向けるというのだ?これでは返って生殺しではないか?
やはり、"顔のいい女に話を聞いてもらう"ことだけが目的で抱擁や乳繰、口淫やその先を含めたさあびすと同額を差し出すというのか??わからぬ。
がるばー、きゃばくら、ぴんさろ、おっぱぶ、でりへる、そぉぷ...。
この風俗のぐらでぇしょんにおける各さあびすの目的や棲み分けがわからぬ…。
興味深いのは、"ばぁ"や"ぱぶ"では他の客や連れの男らと体験を共有している点である。擬似的であるにせよ恋愛や肉欲を求めるならば対個人のさあびすに向かいがちな気もするが、果たして…やはり"楽しく酒を飲むため"のプラス要素として美女を脇に置くというのだろうか…ええい!わからぬ!わからぬままだ!!
わからぬままだが
「人一人を拘束してこのぐらいの時間相手をしてもらうとなると、だいたいこれぐらいが相場ってもんさ」
Kが達観したようにもっともらしくそう言う。
なるほど、、、確かに。
若くて顔のいい粧し込んだ女に酒を注いでもらいながら気持ちよく話す...。おそらく、この"若くて顔のいい女"というところが重要なのだろう…ホストも然りか。"若くて顔のいい"それが時給1万円を超えることも決してめずらしくない相場を成立さし得る土台。法外なる価格にもかかわらずこぞってそこへ金をつぎ込んでは破滅する者が後を絶たない魔力。いやそもそもが法外ではないのかもしれない、この若さや顔の良さに"価値"を付け、定めているのは他でもない消費者である我々なのだから。この社会ではそれが是とされている。ただそれだけのこと。"愛だ恋だ"と言いながら"顔と若さ"に金が集まるこの哀しき構造がこの街であり人であり社会なのだ…。
"レンタル彼女"なるさあびすの存在も思い出した。
そうか、むしろレンタル彼女のほうが納得が行く気もする…夜の街にひしめく「ばぁ」やら「ぱぶ」などよりよも、歪みなく欲望を体現したものではないか…?
まて、たしか"レンタルおっさん"なるさあびすもあったな…。
いやはや、やはり都会は恐ろしいところだ、世間に煙たがられている"おっさん"までもが商品として成立してしまうのだ。いったいどういう了見なんだ?ここで出てくるおっさんは世間から爪弾きにされず、忌み嫌われることなく存在を許された"優良おっさん"ということなのか?
まて、すると…わしは?わしはどうだ?
仮にわしがこのレンタルおっさんに登録したとする…わしはどうなる??あぁっ…やめろ。やめたくれ。許さぬ。わしは許さぬぞレンタルおっさんを!"おっさん"は等しく惨めで哀れであるべきだ!わしのように!!それが現世の理なのだ!それをこんな…年収だけでは飽き足らず、さらにおっさんに優劣をつけ階級のようなものを付すなど!!おっさんの中に分断を生み社会を混乱に陥れようとしている!!こんなさあびすに登録しているおっさんの気がしれぬ!ルサンチマンの風上にも置けぬ!腐ったおやじだ!おっさんで在ることを拒絶する醜きおっさん!それはもうおっさんではないナニか…。おっさんの皮を被った化け物だ!!許さぬ!今すぐ全国のおっさんレンタル登録者をおやじ狩りして回っって…
いやちょっとまて、わしは今日、単純にかねてより気になっていたさあびすの探求と解明を目的にこの街を訪れただけなのだ。そしてそのさあびすを享受し、然るべき対価を払った。キモチよかった。満足である。悲願であった素人シロウト童貞をも脱しついに晴れて完全なる"大人"へと至ったのだ。"らうんじばあ"なるさあびすの存在意義についてはいささか疑問が残るものの、浮世から隔絶された哀しきじじいの見聞も十分に広めることができた。成果は十分である。にもかかわらず、ここにきて何故このような暗然とした心持にならねばならぬのだ…。はぁ。
東京は毒じゃ…。
渦巻く欲望に振り回され腐り落ちた屍がつくる摩天楼…金と性といいねを燃やして発電しては光る殺虫灯じゃ…。
そんな東京すらももはや世界では衰退途上の古臭く出涸らした侘しさと憂いの漂うおっさんみたいな街だという…
この世は一体どうなっているというのか…
瘴気を振り撒く欲望シティが一体あといくつあるというのだ…恐ろしい。
東京は毒じゃ…。
わしはもう、次に足を踏み入れたら正気を保っていられる自信がない…。
健全な精神、生活、人生を望むならば、およそ凡人が立ち入るべきでない魔都。
わしが立ち入っていい世界ではないのだと知った。
幸いにもそれが知れたことで、わしの中で肥大し続けていた都会への憧れや未練といったものが無くなったように思う。いい気持ちだ。
山で暮らそう…鹿を追いかけ、鳥の声を聴き、風と遊んで生きるんだ。
それこそが、わしの生きる道!!
さて、次はいつ行こっかなぁ〜♡