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特定作家のフアンであるのはよくないことなのか

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  • あび(abhisheka)
  • 2019/10/08 02:48

評価ロジックの変化について僕と同じような仮説を立てている記事を読んだ。

で、改めて思った。
僕が自分の以前からのフアンをALISに何名か誘って、その中には、自分も記事を書いたり、いろいろな人の記事にいいねをしている人もいるが、
殆ど僕の記事を読んだときにいいねをするためにアカウントを作ってくれたような人もいる。
そのほかにも、アカウントなしで僕の記事だけ読んでいる人もいて、裾野は実際にはもっと広いんだから、アカウントわざわざ作ってくれた人の分ぐらい、評価してくれてもいいやんと思っていたが、
まあ、あまりたくさんのフアンを連れてくる人がいると、ジャックみたいになるから、これはこれでしょうがないかなと思いもした。

そしてそのように新評価ロジックを分析した記事や、その後の方針を挨拶した記事だけは、まずまず評価が上がったので、もともとの「ALISユーザー」のいろいろな人が、いいねしてくださり、少なくとも、いいねの中に混じったのだなと考えた。

しかし、その後の経過を見ていると、全体として、やはり僕の評価は下がっている。
かなりひどい下がりようのものもある。相変わらず、今のところ、外部シェアを控えめにしているので、僕だけのためにアカウントを作ったのではない、普通の?「ALISユーザー」のいいねの比率は前より高いはずだ。

てことと、上記の記事を読んで思ったのは、自分が誘ったのではなくても、前からALISにいる人によるものでも、特定の人によるいいねだけに偏っている場合は、評価が低いということだ。

そして上記の記事自体は、まずまず評価されているが、それはALISの評価ロジックについて検証した記事であり、ALIS内の多くの人が関心を持った記事だからと言えると思う。
僕の場合も、ALISの新評価ロジックについて考察したいくつかの記事だけは、評価が上がった。

で、だ。
僕はALISでALISについて書いていれば、今後もまずまず評価されるかもしれない。
しかし、たとえば「魂の螺旋ダンス」は、やや難解な宗教学的評論だし、社会の中でもそうだが、ALIS内の読者はさらにさらに限られているだろう。

また小説などの文学はもともと個人の好みによって、好きな作家のタイプがけっこうはっきりする分野だ。
出版社にとっても書店にとってもドル箱の村上春樹ですら、彼の本は全部読んでいるという人と、彼は嫌い、読まないという人にはっきり分かれていたりする。
ノーベル文学賞の大江健三郎の小説も、文体がくねくねと長文で読みにくいから読まないという人と、そのくねくねしているうちにある種の魔術的なリズムの中で伝わってくる苦しみや悲しみや喜びがあるから大好きだとか、自分の子どもも障碍があり共感することが多いとか、なんらかの理由でフアンになり、全部読んでいる人もいる。

手前みそで申し訳ないが、僕自身の話を少しすれば、こんなことを言われたことはある。
子どものころから学生のころまで本を読んでいたけど、ある時点で読まなくなった。
また読むようになったのは「ええぞ、カルロス」に出会ったときだ。

「この人の書いたものなら読みたい」と感じた。
それ以来、あびちゃんの本は全部読んでいるし、フアンだよ。

同じように「蝶を放つ」についても、こんな風に言われたことはある。
自分にとってはすべての小説の中で最高峰。

長い間、苦しんできた生と死と性の秘密を全部解き明かしてくれたと感じたから。
私にとっては世界で一番の作家。
作品はほとんど全部読んでいるよ、著書は読書用と保存用と二冊ずつ持っているよ。

しかし、もちろん、そう言ってくれる人は、日本社会の中でとても限られているから、私は売れない作家なのだが、(ここ重要)
そう言ってくれる人がひとりでもふたりでもいることは、作家冥利に尽きる。(ここ、それ以上に重要。)

で、だ。
読書の世界ではそのように特定の作家を好きになり、追っかけになり、その人の作品をとりあえず全部読むというのは、よくあることであり、いわば普通の現象だ。
乱読の人もいるし、けっして少なくはないが、ある作家の本は全部読んだし、新作が出たら必ず読むという人は、珍しい存在ではなく、読書というもののひとつの形として、ありふれたあり方だ。

音楽のフアンなどもそうではないか。

あるミュージシャンのフアンで、その人の音楽ばかり聴いている人がいたとして、その人がほかの人の音楽を聴いてないからといって、その人がそのミュージシャンが好きだという気持ちの評価を下げなければいけない理由にはならない。
 

翻って考えるに、問題は限られた枚数のALISの配布にかかわるかもしれない。

ある人の作品のフアンが、その人の作品をほとんど無尽蔵の通常通貨の世界で全部買って読もうと、ケチがつくことなどありえない。
が、限られた配布ALISを分け合っている中に、特定の人にだけ、いいねを押している人がいたら、ちょっと考えることがないではない。

しかし、だからといって、特定の書き手のフアンになることは悪いことではない。
またやや難解な宗教学的評論、ニッチな読者しか持たないタイプの純文学などの評価が極端に下がるのは、酷なことだという気がする。
もともとニッチな領域だから、限られた人の少ないいいねに偏るのに、その限られたいいねのひとつひとつの評価がさらに非常に低いものになったのが、今回の評価ロジック変更だと思われるからだ。

それは運営の決めることなので、意見は言うことができても、再変更など不可能だということはわかっている。
変更により、前より評価が上がった人は、コミュニティの視点で見たときにはたぶん多数派であり、この新評価ロジックはたぶん多くの人に歓迎されていると予想する。

ただ、そこから少し外れた位置にいた人は「さらに」評価が下がったと思われる。
僕は多産だったので、外れていても、「合計」評価額は前は高かったのだが、こつこつ少しずつ書いている人で、コミュニティの中心にうまく溶け込んでいなかったタイプの、特定フアンに支えられていた人は、もともと低い評価がさらに低い評価しか得られなくなった人もいるのではないかと思う。

仕方ない。
ALISはそういう場所だと定義されたのだ。
いやなら去れということだろう。
僕は去りはしないが、比重を円経済圏に戻していこうという気持ちはますます強くなった。
円経済圏では特定のフアンが追いかけてくれるのは、むしろよいことだ。
今はそれが少ないから売れない作家だが、それが増えてくれば、書くことにより「立つ」ことは不可能ではない。
だが、ALISの対円レートを含めて考えると、ALISでは不可能だ。

たぶん、ますます「作家」という人種は寄り付かなくなると思う。
それがALIS世界全体によって、いいことなのか、悪いことなのかは、まだまだ見守る必要があるだろうとだけ、感想を述べておこう。

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10代より世界放浪。様々なグルと瞑想体験を重ねる。53歳で臨死体験。31年の教員生活を経て現在は専業作家。https://note.mu/abhisheka

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