1
足では
もう踏めなくなった枯葉を
車椅子で踏む
足の踏む音は
さくっ
さくっ
と断続音
車輪は
さくさくさくさく
と蹂躙していく
もう同じ音は聞けないのだと
知った秋
2
車椅子から見える光景
子どもの頃の
目線の高さ
車椅子から見える光景
越えられない段
ただそれだけで行き止まり
車椅子から見える光景
抜けられない隘路
手の届かない商品
車椅子から見える光景
登れない山
降りられない谷
車椅子から見える光景
見ぬふりする人
声かける人
車椅子から見える光景
人の心のひやりとする冷たさ
また温かさ
車椅子から見える光景
殺し合う世界
誰もが微笑むもうひとつの未来