2017年の今日の日記
先人の礎の上に
障碍者問題総合誌『そよ風のように街に出よう』がこの夏、91号で終刊した。
最後まで編集長を務めた河野秀忠さんはそれを見届けるようにして9月初めに74歳で亡くなった。
この雑誌が創刊した1979年、私はまだ大学生であったが、大きな影響を受けてきた。
その後教員になった私は養護学級や病院内学級も担任した。
そして53歳の時、心室細動の後遺症で車椅子ユーザーとなった。
この間に街のバリアフリー化はある程度進んできた。
私は電動車椅子で可能な限り一人で出かけている。
今なお残る社会の中の様々なバリアにぶつかりながら、必要があれば意見や要求を伝えている。
また、アゴラにはこうして連載の機会をいただき気づいたことを分かち合っている。
それもこれも先人の築いてきた礎の上に開かれた道の上でのことである。
介助者なしで街に出ること自体、冷たい視線を浴び、心ない言葉を投げつけられることを意味していた時代を思えば隔世の感がある。
しかし、今なお施設面のバリアフリーも、心のバリアフリーも完成したわけではない。
社会がすべての人が共に泣き笑いする大道になる日まで、この雑誌の精神や、編集長の遺志を受け継いでいきたい。
そのことを改めて約束し、河野編集長に哀悼の意を捧げます。