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クンダリニーヨーガ (2)

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  • あび(abhisheka)
  • 2019/05/19 11:27

・ 高橋弘二とシャクティパット

ミイラ事件当時、ライフスペースの高橋弘二は、自らシャクティパットを「授ける」グルと名乗っていた。その高橋弘二が、最初にシャクティパットの世界に出会い、グルからシャクティパットを「受けた」のは、インド人の女性グル、スワミ・チッドヴィラサーナンダ(通称グルマイ)からである。

つまり、高橋弘二に最初にシャクティパットを施したインド人グルは、すなわち、私にシャクティパットを施したグルと同一人物である。

それは、一九八六年以前のことであったはずである。なぜなら一九八七年の初頭に、高橋弘二は、グルマイから受けたシャクティパットの感想を講演で語っているからである。

当時大阪の江坂にあったライフスペース本部のセミナールームで、私はその講演を聞いた。
講演は「川を押してはならない」というメインテーマを繰り返す非常にシンプルなものだった。
あるがままの哲学と言おうか。ありのままの存在や生命の働きに信頼を置いた、人をいい気持ちにさせる話である。肩をいからし、ストレス過剰な生き方をしがちな「現代人」にとっては、バランスを取り戻させてくれる、それなりに意味のある話だったと言ってもいい。
高橋の語り口はやわらかく、さすがに語りのプロであった。

その講演の中で、高橋はグルマイのシャクティパットを受けた体験を語り、一月末に行われる予定のシッダ・メディテーションへの参加を聴衆に促したのであった。
「もう、すごいの。ペパーミントみたい」

高橋は、シャクティパットを受けて、クンダリニーが上昇した体験をそのように語った。体をペパーミントのような快感の小波が駆け抜けたというのである。クンダリニー・ヨーガの経験者として、私にはその感覚はよくわかる。

古来インドに伝わるクンダリニー・ヨーガでは、グルが弟子にシャクティパットを授けることによって、弟子の尾てい骨のあたりに眠るとされる生命エネルギー(クンダリニー)を目覚めさせる。
クンダリニーはひとたび目覚めると、背骨に沿って上昇し、チャクラと呼ばれる七つのエネルギーセンターを次々と目覚めさせるとされている。

このことによって、心身が深く癒され、喜びを覚え、愛に満ち、ついには宇宙と一体となった境地に至ると言うのである。

このインドの伝統は、一九六〇年代頃にアメリカ合州国にもたらされた。
高橋にシャクティパットを施したグルマイの、そのまたグルである故スワミ・ムクタナンダは、インドからアメリカに渡り、フラワーチルドレンなどと呼ばれていたアメリカの若者たちに、クンダリニー・ヨーガを伝えた功労者のひとりである。

そしてムクタナンダは、クンダリニー・ヨーガの歴史上はじめて、テレビカメラの前で、グルとしての後継者を任命した。その新しいグルこそ、美しい女性の弟子としてムクタナンダにかわいがられてきたグルマイであったのである。

さて、一九八七年の一月、高橋弘二の薦めに従って、私はライフスペースのセミナールームで開催された、シッダメディテーションのインテンシブというプログラムに参加する事にした。
この会には、グルマイ自身が来日するわけではなかったが、グルマイの弟子である二人のシッダ(成就者)が、来日し瞑想を指導するとのことだった。そして、その二日間の瞑想プログラムの中で、グルマイのシャクティパットがなんと遠隔操作で授けられるというのである。

シャクティパットの折りに、指で相手の額の真ん中を触り、エネルギーを送りこむグルなどはインドにも多い。シャクティパットとまで言わずとも、気の流れの強い人に額の中央に触れてもらうと、一瞬くらっとくるような事もある。

だが、グルマイはそれを地球の裏側から、触わりもせずにやるというのである。
参加者は、背筋を伸ばして座り、オームナマーシヴァヤというマントラを唱え続ける。その瞑想中のどこかの時点で、シャクティパットの瞬間が「来る」という。その時、実際にグルマイが地球の裏側で何をし、どのようにして参加者に働きかけているのかは不明である。

だが、それは実際に起こった。そのプログラムの中で私に起こった不可思議な体験をありのままに語ると、私もまたひとりの狂信者だと思われるかもしれない。

だが、それは確かに起こったのである。背中を熱い火のようなものが駆け上がった。ハートが錐で刺されるように痛くなった。

そしてそのきりきりと強烈に痛むハートに、やわらかい優しい手が、ゆっくりと差し込んできたのである。私はそれをグルマイの手だと感じた。その手は、私の痛んだ心臓のあたりをとろかすかのように愛撫するのだった。
 

文脈に沿って全文を読みたい方は以下よりお願いします。

 

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10代より世界放浪。様々なグルと瞑想体験を重ねる。53歳で臨死体験。31年の教員生活を経て現在は専業作家。https://note.mu/abhisheka

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