「放射線副読本」再改訂版が中学校で配布されている。という連絡が元同僚からあった。「以前に初版が出たとき、君はその問題点を指摘して、職員会議で配布に反対していたよね。どこにどんな問題があるか、知りたいから教えてくれ」と言うのである。彼は仕事帰りにその冊子を私に届け「今度また問題点を聴きにくる」と言って置いていった。私は病気で「国語」の教員を早期退職した人間である。放射能についての専門家でも何でもない。だが、自分自身が枚方市の中学生のときに理科の先生から「プルトニウムの放射能の半減期は24000年です。そんなものを人間が管理できるわけはないってわかるでしょ」と聞いてから、ずっと「反原発」である。「うーん。じゃあ、なるべく調べとく」と答えた。現職教員は土日もクラブ指導である。学校に突然届いた「副読本」の問題点を調べるような時間などない。自分の役回りかという気もした。
結論からいうと、ネット検索したり、集会に出たりして、調べるほどに、予想外に大きな問題が芋づる式に見えてきた。現時点でわかってきたことをとりあえずまとめてみたい。
まず「放射線副読本」それ自体に嘘やトリックが含まれている。たとえば日本の水や食料の放射線の基準は世界でも最も厳しいという表がある。が、この表は日本の平時の基準と、諸外国の緊急時の基準を何の断りもなく、横並びに掲載し、日本の基準は厳しいと強弁するものである。図表にトリックを忍ばせ、それを元に教育することや、学校という「権威ある機関」から配布することは、大変悪質なデマゴギーの伝播と言わなければならない。