恐怖ー回避モデルで重要なのは、運動が痛みの警告信号として学習される
白いウサギや毛皮のコートなどウサギに似ているものにまで恐怖を抱くようになる。
このような恐怖の広がりを般化といい、全般性不安障害や心的外傷後ストレス症候群といった精神疾患の病態メカニズムとして広く受け入れられている
恐怖の般化が痛みの慢性化においても重要な役割を担う
患者は持ち上げる動作に類似した動作、例えば物を運ぶ動作や腰を曲げる動作なども避けようとする。この類似した動作のことを般化刺激(GS)
慢性痛患者は痛みの恐怖を過剰に般化するあまり、自分にとって安全な運動や姿勢を弁別できない状態へと陥る
患者の訴えのなかには『運動するとその日の夜に痛くなる』というものや、『無理をすると痛みがぶり返す』といったものもよく聞かれる。
このような『将来おこる痛み』や『痛みの増悪・再発』などにたいする恐怖は『損傷への恐怖』と呼ばれ、即座に訪れる痛みへの恐怖とは区別される
『損傷への恐怖とは』それ自体がUSであり、言語による教示や他者の観察によっても学習されることがしられている。
US→無条件刺激
行動実験とは行動療法の技法のひとつ、『対象者の不合理な信念の妥当性を実験的手法で検証する技法』
段階的曝露療法:GEXP
特に慢性痛疾患の運動恐怖や機能障害の改善に有効性が示されている。
曝露療法はもともとは不安障害などに対する治療法であり、恐怖条件付けの『消去』の理論に基づいている
消去とは条件付けと反対の手続きで、USを伴わないCSを繰り返し提示することでCRが減弱する現象である。
例として『腰を曲げると痛い』という患者であれば、腰をまげても痛くないことを経験させれば痛みの恐怖は減弱する
患者の予測が破局的であればあるほど、現実に起こる結果とのギャップは大きくなり、『思ったよりも大丈夫』という体験につなげやすい。このようなギャップをつくりだすことが、不安障害に対する曝露療法でも重要視されている。