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ステーブルコインに関する G20 財務大臣・中央銀行総裁への FATF 報告書要旨(仮訳)を再転記・要約

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  • taake_classic
  • 2020/07/17 11:38

 

 

ども、Taakeです。

FATF声明(金融活動作業部会)のいわゆるステーブルコインに関する G20 財務大臣・中央銀行総裁への FATF 報告書要旨(仮訳) が、元のPDFだと読みにくかったので転記したうえで、こちらに文字強調等してリライトしてみました。やっぱ改行とかちゃんとした方が読みやすいよね。

(記事にするより、自分が読むためという目的が9割)

要旨の要旨

ステーブルコインは、今後特に巨大なテクノロジー・通信技術又は金融機関によって提供される場合において、マス・アダプションが発生する可能性がある。

現FATF基準下では、ステーブルコインは、その商品の特性次第で、暗号資産又は伝統的な金融資産のいずれかに該当する。

FATF は現時点では、現基準を改訂する必要があると考えてはいない。とりあえず今の基準はみんな守ろう。2021 年 6 月までに見直し必要かまた検討する。各国監督当局の協力・情報共有および監督当局としての対応能力強化の国際的な枠組みを強化したほうがいいかなと考えてる。

分散型のステーブルコインは、中央開発者・中央ガバナンス主体が金融機関又は暗号資産交換業者としての活動を行っている場合にエコシステム全体のAML/CFT 上の義務を負う。具体的には、分散型のステーブルコインのローンチ前に、 AML/CFT 上のリスクを特定・評価・低減することが求められる。

FATFが追加アクションが必要かもしれないと考える潜在リスクとしては、

●コインの拠点の法域がAML/CFTの枠組みをしっかりしているか

●AML/CFT 上の措置が適用可能な仲介業者が存在しているか

●アンホステッド・ウォレットを経由した匿名でのP2P 取引でのAML/CFTリスクをコントロールできるか

 

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いわゆるステーブルコインは、金融のイノベーション及び効率性を加速させるほか、金融包摂を改善する可能性を秘めている。

ステーブルコインは、従来は小規模で取引されてきたに過ぎない一方で、(ステーブルコインに関して)新たに登場したプロジェクト提案は、特に巨大なテクノロジー・通信技術又は金融機関によって提供される場合において、グローバルな規模で広範に利用される(mass-adopted)可能性がある

その他の巨大な価値移転システムと同様に、こうしたマス・アダプション(mass-adoption)されやすい特性は、マネロン・テロ資金供与(ML/TF)目的で利用することに対するステーブルコインの脆弱性をより大きなものとし、その結果、ML/TF 目的で犯罪に悪用されるリスクを著しく増加させる

金融活動作業部会(FATF)は、ML、TF、大量破壊兵器の拡散金融を撲滅するための国際基準を設定している。
FATF 基準は、具体的なマネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)上の義務を、個人と金融システムをつなぐ仲介業者(金融機関等)に対して課している。

暗号資産の ML/TF リスクを軽減するため、FATF は、2019 年 6 月、ML/TF に対する十分な範囲の予防措置の実施を暗号資産交換業者(VASPs)に対して要請するため、FATF 基準を改訂した。

2019 年 10 月、G20 は FATF に対し、ステーブルコイン、特に「グローバル・ステーブルコイン(即ち、マス・アダプションが発生する可能性のあるステーブルコイン)」に関する AML/CFT 上の問題を検討するよう要請した。

 

本報告書は、ステーブルコインに関する AML/CFT 上の問題の分析を整理するものである。金融安定理事会(FSB)や国際通貨基金(IMF)から公表される相互補完的な報告書では、ステーブルコインの他の影響(金融システムの安定及びマクロ経済への影響等)が検討されている。

FATF は、ステーブルコインは、匿名性、グローバルな普及、違法資金の多層化(による本人確認の困難化)の可能性という点において、一部の暗号資産と同様に潜在的な ML/TF リスクを抱えていると認識している

コインの設計次第で、ステーブルコインは、アンホステッド・ウォレット(unhosted-wallet:ユーザーが直接秘密鍵を管理するウォレット)を経由した匿名での個人間取引(P2P 取引)を許容する可能性がある。これらの特徴は、(ステーブルコインの)ML/TF 上の脆弱性を示すものであり、こうした脆弱性は、マス・アダプションが発生すれば高まることになる。

 

進行中のプロジェクト及び現在提案されているプロジェクトを精査すると、仮に実際に、ステーブルコインの価値が安定し、より使い勝手が良くなり、巨大通信プラットフォームへの統合を求める巨大企業によって提供されるのであればステーブルコインは、多くの暗号資産よりも、マス・アダプションを達成する可能性が高いと見られる。
(2019 年 6 月に)改訂された FATF 基準(現基準)は、ステーブルコインに対して明確に適用される。現基準下では、ステーブルコインは、その商品の特性次第で、暗号資産又は伝統的な金融資産のいずれかに該当すると考えられる。ステーブルコインの枠組みに関与する様々な関係主体は、現基準下での AML/CFT 上の義務を遵守することになる。

どの事業者が AML/CFT 上の義務を負うことになるかは、ステーブルコインの設計次第であり、特に、ステーブルコインの機能の中央集権性(又は分散性)の度合や、事業者の活動内容による。

中央集権的な枠組みのステーブルコインでは、単一の事業体が枠組み全体のガバナンスを担うほか、(カストディアル・ウォレット(custodial wallet)の提供や交換・移転サービスによって、)ステーブルコインの価値安定化や移転を実施し、ユーザーインターフェースを提供している可能性がある。

分散型の枠組みのステーブルコインでは、システムを統治する中央事業体は存在せず、価値安定化や移転の機能、及びユーザーインターフェースは、多様な異なる事業体の間で又はソフトウェアを通じて、分散的に実施される可能性がある。

中央集権型・分散型の枠組みは排他的なものではなく、ステーブルコインは両者の枠組みの間に位置するいかなる形態にもなり得る。
例えば、ステーブルコインの枠組みとして、価値安定化は中央集権的に行われる一方で、ユーザーインターフェースは(エコシステム内の)他の暗号資産交換業者間で分散的に実施されるということがあり得る。 

重要なこととして、(エコシステム内の)他の事業者(例:ウォレット提供者)が負う義務とは別に、ステーブルコインの中央開発者(central developer)・中央ガバナンス主体(central governance bodies)は、金融機関又は暗号資産交換業者としての活動を行っている場合に、現基準下で(エコシステム全体の)AML/CFT 上の義務を負うことになる。

ステーブルコインの中央ガバナンス主体は、ステーブルコインの機能や、誰が枠組みにアクセスできるか、そして AML/CFT 上の予防措置が枠組みの中で確保されているかを決定・判断する立場にあるため、ステーブルコインのエコシステム全体の ML/TF リスク軽減措置を実施するユニークな立場にある。
例えば、中央ガバナンス主体は、価値移転のシステムへのアクセスを、AML/CFT 規制を遵守する暗号資産交換業者を通じてのみ可能とすることを確実にし得る。しかしながら、全てのステーブルコインに、容易に特定できる中央ガバナンス主体が存在するわけではないと考えられる

現時点で認知されている(ステーブルコインの)モデルに基づき、FATF は、マス・アダプションが発生する可能性のあるステーブルコインは、特定可能な中央開発者もしくは中央ガバナンス主体を伴う形で、一定程度中央集権化されるであろうと考えている
FATF は、これらの中央開発者もしくは中央ガバナンス主体が、現基準下で、一般的に金融機関(例えば、決済手段の発行及び管理に関わる事業者)もしくは暗号資産交換業者(例えば、(FATF 基準上の用語を定義する glossary で規定される、暗号資産交換業者の 5 つの活動類型のうちの1つである) participation in and provision of financial services related to an issuer’s offer and/or sale of a virtual asset を行う事業者)に該当すると考えている

このように中央開発者・中央ガバナンス主体が FATF 基準の規制対象となることは、ステーブルコインの ML/TF リスクを低減する上で重要な統制である

また、中央集権型の枠組みにおいてであっても、(対顧客で取引を行う)交換所・移転サービスや、カストディアル・ウォレットの提供者等、AML/CFT 上の義務を負う(中央開発者もしくは中央ガバナンス主体以外の)様々な他の事業体が(エコシステム内に)存在し得る

こうした特定可能な中央組織(central body)が存在しない、分散型のステーブルコインは、それ自体はオペレーションの分散によってより大きな ML/TF リスクをもたらす可能性があるものの、FATF は、中央集権型の枠組みよりもマス・アダプションが発生する可能性は低く、したがって関連する ML/TF リスクは(依然存在するものの)比較的小さいと考えている。

しかしながら、分散型の枠組みにおいてであっても、(対顧客で取引を行う)交換所・移転サービスやカストディアル・ウォレットの提供者等、AML/CFT 上の義務を負う様々な事業体が(エコシステム内に)存在し得る。

重要なこととして、商品をローンチさせるために必要なプロセスは完全に分散化することはできないため、分散型のステーブルコインのローンチ前に、(分散型のステーブルコインに関係する)事業体が AML/CFT 上の義務を負うことが想定される

FATF は、現基準下で仲介業者に求められる予防措置が、現在存在しているステーブルコインによってもたらされる ML/TF リスクを低減するために機能してきたと考えている。したがって、FATF は現時点では、現基準を改訂する必要があると考えてはいない。しかしながら、FATF は、ステーブルコインが、注視を不可欠とする技術革新の速い分野であり、各法域は現基準を効果的に実施しなければならないと認識している。


特にステーブルコインの ML/TF リスクは、とりわけマス・アダプションを発生させる可能性があり、匿名性が高められたコインの ML/TF リスクについて、継続的かつフォワード・ルッキングに分析され、また当該商品がローンチされる前に低減されることが重要である。ステーブルコインは、自身の機能を多数の法域に分散させながら、急速にグローバルに利用可能となる可能性があるため、各法域間での国際協力が、ML/TF リスクに適切に対処することを確実にする上で重要である。

また、FATF は、更なるアクションを必要とし得るステーブルコインの潜在的なリスクを特定した。

即ち、

AML/CFT の枠組みが脆弱もしくは存在しない法域(即ち AML/CFT 上の予防措置を適切に実施できないであろう法域)に拠点を置くコイン

分散型ガバナンス構造を有するコイン(即ち AML/CFT 上の措置が適用可能な仲介業者が存在しないコイン)

そしてアンホステッド・ウォレットを経由した匿名でのP2P 取引(即ち規制された仲介業者を経由しないで取引が行われる場合)

である。

 

従って、FATF は 4 つのアクションを提言する。

a. FATF は、全ての法域が優先課題として、暗号資産及び暗号資産交換業者に関する現基準を実施することを要請する。

b. FATF は、2021 年 6 月までに、現基準の実施状況及びその影響に対するレビューを行い、FATF基準改訂が必要かどうかを検討する。この取組みには、暗号資産がもたらすリスク、暗号資産市場、そして匿名での P2P 取引を促進し得るマス・アダプションの可能性を秘めた(ステーブルコインの)枠組みの提案に対するモニタリングを含む。

c. FATF は、暗号資産に関する広範な FATF ガイダンス改訂の作業の一環として、ステーブルコイン及び暗号資産に関し、各法域に対してガイダンスを提供する。このガイダンスでは、アンホステッド・ウォレットを経由した匿名での P2P 取引がもたらす ML/TF リスクに対処するために各法域において利用可能な手段を含めて、AML/CFT 統制が、ステーブルコインにどのようにして適用されるかという点について、更なる詳細を提示することになる。

d. FATF は、暗号資産交換業者の活動を監督する当局のグローバルなネットワークを発展させるため、各国監督当局の協力・情報共有および監督当局としての対応能力強化に関する、国際的な枠組みを強化する。


これらの活動を支援するため、FATF は、G20 が範を示し、メンバー国による現基準の実施を確実なものとし、また(G20 以外の)他の法域に対して同様の対応をとるよう求めることを、要請する。

 

 

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