私が嫉妬しているのは
あの女やこの女ではない
私が嫉妬しているのは
あなたの愛する能力
あなたは女の話に耳を傾ける
あなたは女のやわらかい部分に指をいれる
あなたは女の弱い心を包み込む
あなたに抱きすくめられて女は溶けて流れる
あなたは占い師のように女の心に入り込み
あなたはミュージシャンのように女という楽器を奏でる
女たちはあなただけが理解者だと信じ
あなたは鋭い眼光で女のうるんだ瞳を射抜く
あなたには愛する能力がある
あなたには私にはない能力がある
あなたは船を乗り換えるたび
たちまち船長になってクルー全員を支配する
やさしさなのか
支配なのか
受容なのか
侵入なのか
あなたが花から花へと飛び回ることを
私には止められないのかもしれない
蝶であることはあなたの本性で
羽をもぎとられたあなたはもうあなたではないのかもしれない
けれども
私はあなたの愛する能力のすべてを独占したい
あなたの羽をもぎ取って食べてしまいたい
私が天空に張り巡らした蜘蛛の巣で
あなたの飛翔能力をはるかに凌駕したい
私が嫉妬しているのは
あの女やこの女ではない
私が嫉妬しているのは
あなたの愛する能力
私はあなたの愛する能力に
悪魔の張り巡らした罠で挑もうとしている
しかし
どこか心のずっと奥の方で
ジェラシーが愛に勝つことなど
金輪際ありえないことを悟っている・・・・