あなたの瞳がわたしを映していないとき
映っているもの
グラスにそそがれたカクテル
指にからまるあの女の指
腰まで切れ込んだドレス
飾り窓の光の中の娼婦
あなたの瞳がわたしを映していないとき
映っているもの
すれ違ったミニスカートの太もも
電車の女学生たちのおしゃべり
若い女の滑らかな肌
無垢な心であなたを見つめ返す少女の瞳
あなたの瞳にわたし以外のものを映すなら
あなたの瞳に錐を突き立ててやりたい
白濁した見えない目で
首を振りながら
わたしの乳房をまさぐるあなたを
力いっぱい抱き返す
ごめんなさい
ごめんなさい
わたしだけのものになったあなたの瞳に
何度も何度も謝るわたし
これでいいんだ
僕が悪かったんだとわたしの背中に手をまわすあなた
あなたの瞳がわたしを映していないとき
映るはずだったもの
風に流れる雲
きらめき流れるせせらぎ
猫が振り返る背中
星降る宇宙
そのすべてを奪ったわたしの体を
何度も何度も味わうあなたが
乳房の山なみを抜け
遥かな平原を駆け
茂みの奥の祠で
星降る宇宙を見てほしい
星降る宇宙をもう一度見て!