先日のALISのミートアップで、いちばん興味をひいたのは「これからは社会関係資本が注目される」ということでした。
なぜ、ソーシャルメディアをサービスとして選んだのか、という背景がすこしわかったような気がしました。
人が幸福を追求していくのに必要な3つの資本があるとされます。
金銭資本、自己資本、社会関係資本です。
金銭資本は、いうまでもなくお金をどのくらい持っているか、です。
労働などの経済活動により、金銭を獲得することで、物を購入したりサービスを受けたりすることができます。金銭資本があることによって、毎日の暮らしを維持することができ、生存していくことができるのです。
また、金銭資本を株式や不動産に投資したりして、さらに利潤を得ることもできます。こうして、日常生活での自由を獲得していくわけです。
こうした自由や生存していくための基盤を得たくて、人は金銭を得ようと必死になるのだと思います。
自己資本は、文化資本とも言われているもので、個人に備わっている学歴や才能、特技といったものです。
教育や訓練、自己啓発によって個人に蓄積されていく知識やスキルといってもいいかもしれません。
この自己資本を充実させるための目的としては、まず、金銭資本を得るためでしょう。勉強したり、訓練して自らに蓄積されたものを持って、就職活動では企業などに自分を売り込んでいくのです。
自己資本を社会に投入していくことによって、金銭資本を得るという基本的なスペックですね。
もちろん、お金を得る、という目的のみならず、個人としての充足感や成長を実感することで、心豊かに暮らしていくという側面もあります。
「自分磨き」というのは、この自己資本を充実させるための活動とも言えそうです。
世間では、「ソーシャル・キャピタル」とも呼ばれています。自己資本を持った自分自身と、コミュニケーションによって他人とが繋がった状態ですね。自らが属している信頼を前提とした協調的なコミュニティといってもいいでしょう。
ALISとしては、この「社会関係資本」に注目したわけです。
人間はたった一人では生きていけないわけで、意識しなくても何かしらの社会関係資本、コミュニティには属しています。それは、家族であったり、地域であったり、職場だったりします。
みんなそれぞれ、複数のコミュニティを持っているわけです。
そして、そのコミュニティの充実度が、人生の幸福も決めると言われていて、今後、ますます「社会関係資本」が重要になっていく、ということをALISの嗅覚は感じ取ったのでしょう。
実際、金銭資本を獲得するにも、自己資本を投入するにも、そうした機会は社会関係資本、つまり、何かしら自分がつながっているネットワークやコニュニティを通じて、自分にやってくることには気づいている人は多いと思います。
仕事の依頼であっても、降って湧いてくるのではなく、自分とつながりのある他人を通じてやってくるのです。
この社会関係資本が充実していれば、たとえ、今、金銭資本(お金)がなかったとしても、コミュニティを通じた誰かの援助によって、自分の生存が確保されるということは、よくあることです。
それでは、引っ込み思案な人は社会関係資本を築くことができないのか、といえば、今の社会では残念ながらそうかもしれません。
孤独な人は、ますます孤独になっていき、内気な人が充実した社会関係資本を持つことは難しいかもしれません。
でも、ALISのようなインフラができてくれば、自分の好きなコンテンツを記事としてアップしていくだけで、誰かの目にとまるかもしれないし、自分の信頼度の蓄積によって、より良質な人間関係が自然に構築されていく可能性が高まると思っています。
引っ込み思案の人にとっても、社会関係資本を充実させることのできる「機会」が与えられたと思っています。
今までは、金銭資本で生存するための基盤を作り、さらに金銭資本を得るために、自分自身へのスキルを高めて自己資本を充実させる必要がありました。
もちろん、これは今後も必要な資本であることには変わりないと思います。
ただ、金銭資本と自己資本のみで幸せが確保されるかといえば、そうではなく、やはりなんらかのコミュニティに関わっていることで、幸福が訪れるのではないでしょうか。
「家族がいてくれるから頑張れる」「お前たちがあるから、今の自分がある」というのは、みんな社会関係資本からもたらされる幸せだと思います。
そして、社会関係資本が充実していれば、金銭資本や自己資本も補ってくれるパワーになるのでしょう。
ALISの挑戦はソーシャルメディアというささやかなサービスから始まっていますが、今まで、社会関係資本を獲得するのに不利だった人々に対しても、可能性を秘めているサービスだと感じているところです。
そんなALISがますます発展していき、内気な人々にとっても、社会関係資本をつくることのできるツールになることに期待を寄せています。