宝石店って気軽にはいる店ではないと思っています。ただ、宝石や石が好きなのでやっている、という感じです。でも、店舗を維持するには売上ないとつぶれちゃうのが現実でして・・・
興味があって見たい人はいるので、その方たちに押売をしないでいると、たまに宝石自体がお客様に何か語り掛けるようで、ポロっと売れていきます。宝石が自分で嫁入り先を決めた感じでしょうか。
まぁ、自分の店はつぶれなければいいので、こんな感じです。
占いで集客したり、お客様のお相手をしながら宝石をオススメしたり。このときは、しゃべりまくります。「人を集めて、宝石を売ってほしい」という仕事を受けるわけなので。
お腹がすいても食べられず、寒くても暖をとることもできず、雨が降っても雨宿りもできない。スーパーのレジ袋のほうが何倍も役に立ちます。ただ、キレイな色をしていたり光っているだけです。生きるためには必要ないと思います。
なんの役にも立たないものを売るには、お客様の欲望を見つけるといいような気がします。
役にたたないモノは、たいていが欲望がらみです。自分の見栄を形にすると欲望の商品になります。理性で考えたら必要ないんだけど、心という感情が求めるモノかもしれません。
宝石を買ってくださる方は、たいがい「あなたにだまされるわ」と笑っていただけます。そして、次にお会いするときは「だまされにきた」と言われる方も。だから「ありがとうございます。今日もだましますね」と答えます。たまーに、真剣に宝石を買う方もおられます。そんな方には「私は、嘘はいえません」というのですが。たまに「私はウソつきです」と言ってみたりもします。
役に立たないモノを必要とするのは人間だけだと思います。不条理な人間が好きなのかもしれません。宝石を売る仕事は、お客様の普段は他人には語らない話を聞く仕事でもあります。大変な状況や思いを乗り越えられた話や、夢や目標を教えてもらったり、大切に思っている人の話を聞かせてもらったり。
秘密はお聞きしたらすぐに忘れます。これが仕事のうちで一番大切かもしれません。仕事でずーっとしゃべっているので、普段は喋るのが面倒で無口です。