東南アジアの優等生といわれたマレーシア、その赤道直下に位置する人口3300万の多民族国家における税制や年金制度、社会保障はいかなる様相を呈しているのかについて振り返っていくとします。なお、物価事情についても下記の記事で紹介しています。
普通の企業で働いて生活している場合、マレーシアでは所得税くらいしか課税されません。
タックスヘイブンといわれることもあるマレーシア(下記参照)ですが、所得税制はどうなっているのでしょうか。具体的な課税表は以下のようになっています。とはいえ、この税額をすぐに納めなければならないということではなく、来馬して間もない時期は最高税率である30%を収める必要があります。
年収300万円クラス → 21%
年収500万円クラス → 24%
年収1500万円クラス → 26%
最高税率 30%(年収3000万円以上)
納付税額は日本と同様に総所得金額から所得控除を引いたものに税率をかけ、税額控除を引いたものが該当します。なお、年間所得が15万円以下の場合、所得税は0%になります。
これは有名ですが、マレーシアには住民税はありません。
住民税がない国
イギリス、中国、シンガポール
消費税という名目で税はありませんが、買い物をしたときにサービスタックスやSSTという名目で6%から16%ほど課税されていることがあります。とはいえ、これはモールのスーパーなどではありますが、個人商店など小規模売店ではないことがあります。
こちらもマレーシアには存在しない税になります。つまり、一台が稼ぎまくったら、その子供の代もウハウハというわけです。
世界の相続税皆無国家
シンガポール、マレーシア、中国、インド、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、スウェーデン、ノルウェー、オーストリア、ポルトガル
マレーシアの年金制度は日本とは大きく異なる点があります。それは現役世代が払った納付金はすべて、現役世代に戻るということです。日本では、現役世代には戻らず、現役高齢者、現役年金受給者の手に渡ります(賦課式)。その代わり、自分は下の世代により支えられるという仕組みをとっています。つまり、自分で積み立てたものが返ってくるというシステム(積立式)になっているということです。
この点、マレーシアは日本より年金制度が優れているといわれることがあります。マレーシアにおける銀行預金利率は2.5%程度なのに対し、政府が管理する年金積立の利率は5%ほどと、年金加入したほうが利率が高いことが分かります。
とはいえ、SGDMYRは下落し続けている…
マレーシアは、その医療水準の高さでも注目されている国の1つです。確かに高所得国への頭脳流出問題はたびたび話題になりますが、医療のレベルは高く、外国からわざわざ受けに訪れる人もいます。
このような医療制度を受けるには医療保険に入ることが必須になってきます。現地採用などで働く場合、医療保険を出してくれるかどうかは確認するべきでしょう。
日本とは異なる生い立ちを持つマレーシアですが、税制や年金制度、社会保障が比較したときに優れているのかどうかというのは一概には言えません。日本は社会的にも完備なところがある一方でマレーシアはラフである程度自由に資産を扱えるのかなとは思いました。
しかし、多文化国家ゆえにほかのアジア諸国に比べ内政事情が複雑であったり、マレーシア政府が不安定であったりすることを考えると、長期移住や永住を推せるような場所かどうかはわかりません。調べに調べていいな、と思った人以外はいろいろとお勧めできないところも多くあります。とはいえ、インフラ面や公共施設のクオリティは日本に劣るものの、慣れればそのメリットにも気づけることもあるのではないでしょうか。