Valorantの世界大会も中盤に差し掛かっている。ここまでの戦いで残ったのは「FNATIC(EMEA)」「LOUD(ブラジル)」「NRG(アメリカ)」「EG(アメリカ)」「PRX(APAC)」「TL(EMEA)」「DRX(KR)」「EDG(中国)」の8チームだ。
ベスト8
さしあたりグループリーグで戦績からわかることは予想以上にアメリカリージョンが強かったことだろう。これまでFNCやDRX、PRXなどを評価してはきたが、新しく出現したEvil Genius、名門NRGがここまでの躍進を遂げたのは予想外の出来事といえるだろう。
Masters Tokyoでは試合外でも驚きの連続だった。なんとLOUDのメンバーがフルパーティーで東京サーバーの野良マッチングをしたり、VISA問題で出場できない選手が出るなど想定外な事態も多い。
プレイオフの前に行われたグループリーグマッチは、想像以上のベストバウト天国となった。初戦からNAVI v NRG、EDG v T1、DRX v EG、EDG v NAVIなど目白押しといえる戦いは多くなった。
特にオペレーターを持っている選手のクリップは見ものであり、5 on 5のVALORANTならではのすさまじさを感じることができる。それ以外にも、目を見張るような急展開にOTでの熱戦などは相変わらず息をのんでしまう。このような試合展開は、これまでのVALOシーンでいくらでも見てきたはずだが、やはりどちらが勝つのかわからない中でシーソーゲームが展開されるのは面白いといえる。
グループリーグで圧倒的存在感を放ったのはアメリカリージョンだった。NRGやEGはこれまでそこまで話題になることはなかった。しかし、GLでのマッチを見るに彼らのレベルは明らかにほかのリージョンよりも高いことが証明されたのだ。
また、韓国T1もその強さを格段にアップさせていることが伺える。これまでDRXに退けられていたという印象しかなかったものの、EDGに勝利しNRGには善戦したことを考えると、今後の韓国リージョンにおいてもGen.Gとともに驚異的な存在になるといえる。
ダークホース的存在として目立っていたのがFUTだろう。5人全員がトルコ出身のこのチームは2022年には見られなかった一方でqw1の華麗なプレイなどが際立った。
Master東京で最も注目すべきはそれぞのチームにこれまでの歩み、ストーリーがあったことを浮き彫りにしていることだろう。EDGやNAVI、NRGにT1などは、まったく別のリージョンにいたうえで、それぞれが歩んできた道のりがあった。その道のりの続きをこの東京で紡いでいく、これを目撃できることがだいご味の一つといえる。
2022年の5月、日本で静かに驚愕されたZETAの快進撃は、初戦DRXに敗北した同チームがLowerブラケットから次々と敵を倒し、その大会ではまるで主人公のような雰囲気を浴びているということで注目されていた。このようなナラティブはMasters Tokyoでも見ることができている。
NAVIとEDGとの戦い、NRGとT1のマッチはその片鱗が見ることができたかもしれない。アジアでも名高いオペレーター使いとしてcned(シーネッド)、ardiis(アーディス)の後に続くようにsaya(サヤプレイヤー)やkk(カンカン)が名乗りを上げた。この大会で、過去同様にVALORANT、FPS界のスター選手が新しく生まれることも想像に難しくはない、そういった試合を展開していることに興味を失わずにはいられない。
Masters Tokyoを見ていて思うのは、以外にもアニメ調のオープニング、日本を意識したプロモーション動画など開催地ならではの仕込みを随所に見ることができる。
VCT初の日本開催ということで、VALORANTのエージェントの一人でもあるヨルを中心としてコンテンツが作られている。VALORANTの作り手であるRiotのクオリティはさすがというところで、そのアニメーションの質もかなり高い。驚くほどである。
また、Masters Tokyoの開催中にもRiotから独自のムービーが提供されるなど、新しいコンテンツの提供をこの場で公表する可能性も高く、残り数日のファイナルまでの日程が楽しみだ。
VALORANTの頂点を決めるトーナメントはいよいよ16日から新しいフェーズに入る。これまで見えていなかったLOUDやFNATIC、PRXがリーグインして日程は進められる。
最終的に優勝のトロフィーを握るのはどこのチームなのか?出場の懸念がされていたPRXのスミスは13日の投稿で日本に来ていることが暗示されている。アジアNo.1のチームとして注目が最高に高まっているPRX、いまだ全勝のFNATICに快進撃を続けるアメリカ勢、それぞれのナラティブがMastersに集い、2023年の最強VALORANTチームがついに決まる。この瞬間を見逃さずにはいられない、そういった数日がこれから始まるというわけだ。
まだプレイオフの対戦マッチは決まっておらず、今後何らかの決定がなされ次第、公表される見通しである。