朝から強い風が吹き荒れ、どんよりとした雲が空を覆う。たぶん今日一日天気は悪そうに思えた。遠くでは雷の音も聞こえた。
「うーん、今日のお宝探しは延期するか。ま、偶にはのんびりするのも悪くないか」 キールがリサを盗賊たちの手から救ってニ日後のことだった。
「へえ、だったら丁度良かった。街を案内してあげるわ、お金は要らないから。まあ、お礼みたいなもんね」
はにかみながら現れ、朝食を食べていたキールの隣にリサが座り一緒に朝食を食べ始めた。
「そうか、よろしく頼むわ」
「それにしても、キールって武器持たないの?なんか、変なの・・・・・・」
「そうだなあ、俺が武器を持っても全然強くならないからな。武器を買う金が勿体ないだろ?だったら、美味いもんが食いたいしな」
「ふーん、普通はそうならないんだけど。まあ、実際に見てるから何とも言えないわね」
「そうだな、危なくなったらリサが守ってくれよ」
「えー、何かやだ!」
昼間からどんよりとした空模様だったが、遂に雨が降り出すと空が決壊したかのような勢いで、大粒の雨が降り注ぎ時々稲光が走り雷鳴が轟く。
コン、コン・・・・・・
「ん?鍵なら開いてるよ」
「・・・・・・ キール、入っていい?」
返事を聞く前に、リサがドアを開けて宿屋の部屋に入って来た。
「リサか、どうした?」
「小さい頃から雷って苦手で・・・・・・ しばらく部屋に居てもいい?」
「え?まあ、お前さえ良ければいいんだけど」
「じゃ、お邪魔しまーす」 「え?何で服脱ぐの?」
「だって、皺くちゃになるじゃない」
「え。何でベッドに入って来るの?」
「だからー、怖いから抱きしめていて。そうしないと眠れないじゃない」
「おーい、何で熱い息を吹きかけるんだよ?」
「それは、心が燃えてるからよ」
「おーい、何で下の方に手をやるの?
「もう、五月蠅い口は塞いじゃうぞ」
「何で、二人して汗かいてるんだよ?」
「もう。キールのエッチ、激し過ぎるんだから」
(今日の朝食は、あんまり味が判らなかった・・・・・・)
「うーん、今日はお替りしちゃおうかな。すいませーん、お替りお願いします」 「お前、良く食うなあ」
(それって、大盛り三杯目だろ)
「え、何んでそういうこと言うかなあ。そう言えば旅で倹約中のキール、今晩の宿からは部屋は一つで良いよね?お金、勿体ないしさ・・・・・・」
「・・・・・・ まあ、大した荷物も無いし。いいんじゃね」
(いちいち考えるのが面倒になるときって、あるよね。まあ、今がその時だ)